ゆうきさらのほんよみにっき@はてブロ

はてなダイアリーから引っ越しました。ゆうきさらが読んだり見たりしたものを気ままにつづります。

2018年に観た映画やドラマや舞台の話

さて、2018年のまとめ。そんなに数を観ている方ではないんですが、今年印象に残ったものを。

ドラマに関しては、観劇で土日家を空けていることが多かったので、そんなに本数は観られなかったんですけども。

映画はともかく、舞台に関しては半分鈴木拡樹の話です。敬称略。

 

 

【映画】

2018年観た映画で印象深いもの(順不同)
●バーフバリ2
否定と肯定
ペンタゴン・ペーパーズ
君の名前で僕を呼んで
ゲッベルスと私
万引き家族
●若おかみは小学生
カメラを止めるな!
ボヘミアン・ラプソディ
リメンバー・ミー
グレイテスト・ショーマン
アベンジャーズIW
デッドプール2

 ●僕のヒーローアカデミア劇場版
パンク侍、斬られて候
累-かさね-
パパはわるものチャンピオン
ブラックパンサー

●ファンタビ2

キングスマンゴールデンサークル

銀魂

 

映画は観に行くもの観に行くもの全部面白くて、今年は当たり年なんでしょうねえ。特に邦画。安藤サクラ松岡茉優は最高でした。累は舞台で観たい。

あと個人的に毎年ナチス映画枠があるんですが、「ゲッベルスと私」は、ゲッベルスの秘書としてあの時代に生きていた「普通の人」の証言として、物凄く衝撃的だった。私もあの時代にあの場所に生まれていたら、同じような選択をし得るっていう恐ろしさ。彼女の友人だったユダヤ人の女性は貧困にあえいだ挙げ句収容所のガス室で亡くなり、彼女は映画でそれを告白するという現実に打ちひしがれた作品。記録映画として秀逸だったのではないかと思います。「否定と肯定」はイギリスで実際に起こされた「ナチスユダヤ人虐殺はなかった」という裁判に対して、どう否定してゆくかを描いたノンフィクション。法廷闘争ものとしても大変おもしろかった。

あと、マーベルものは鉄板の面白さですねえ。ブラックパンサーは音楽がとにかく好き。そしてサノス許さん。

ファンタビ2はジョニデとジュード・ロウがたまらなく良かった。

ファンタビとボヘミアン・ラプソディはもう一度観に行きたいんだけど、時間あるかなあ……。

 

【ドラマ】

風雲児たち

●隣の家族は青く見える

●アンナチュラ

●コンフィデンスマンJP

モンテ・クリスト伯

おっさんずラブ

●dele

●獣になれない私たち

 

単発ドラマを録画したまま溜めてるので、主に連ドラで、しかも見たもののみですが。

今年も圧倒的野木亜紀子イヤーだったなあと思います。安心と信頼と鬱展開の野木亜紀子。特にアンナチュラルは好き過ぎて辛い。続編が観たい。死者の声なき声を聞く監察医ものは大好きなんですが、そこに法廷ものを絡めてきてバリエーションを出しているのが流石だなあと。

野木作品に限らずなんですが、今年は死の色の濃い作品が多かった印象。死じゃなければ別の形で生まれ変わるか。世相でもあるし、平成という時代の死に立ち会う私達に向けて新しい生が拓かれているという希望の現れなのかはわかりませんが。

コンフィデンスマンJPはコンゲームものですけど、長澤まさみのコスプレが毎回楽しかったです。これも毎回別人を演じて生まれ変わる要素があるなあ。

ラストで1話に戻る構成といい、古沢良太の職人芸に唸った作品でした。映画楽しみです。

deleは山田孝之菅田将暉の凸凹コンビ感と、1話ごとに話の雰囲気の変わるオムニバス感で引きつけられた作品で。こちらは死者の残したデータを消す仕事の話なんだけど、そこを軸に生を描く逆説的な展開が素晴らしかった。

おっさんずラブに関しては、ドラマを見ながら、自分の中のLGBTに対する差別感情を鏡写しにされているような居心地の悪さを感じたという不思議な作品でもあった気がします。でも、役者が実力派ばかりなので、キツい展開でも説得された感があり。過渡期の作品なんだろうなとは思うんだけど、私個人的には牧くんに幸せになってほしかったので良かったです……。はるたんはめちゃくちゃ愛されてくれ。

 

【舞台】

観たものをざっと挙げていくと。

●髑髏城の七人season月 上弦の月(LV)

●髑髏城の七人season月 下弦の月

●宝塚版ポーの一族(LV)

●少年社中「ピカレスク★セブン」

マタ・ハリ

●TEAM NACS「PARAMUSHIR ~信じ続けた士魂の旗を掲げて 」(LV)

●舞台「黒子のバスケIGNITE-ZONE

●朗読劇「私の頭の中の消しゴム

●ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"最強の場所(チーム)"

●舞台はたらく細胞(配信)

●舞台家庭教師ヒットマンREBORN!(LV)

●柿喰う客「俺を縛れ」

●ミュージカル「マリーゴールド

●No.9~不滅の旋律~

魔界転生

●日本の歴史

●江戸は燃えているか

NODA・MAP「贋作・桜の森の満開の下

●メタルマクベスdisc3

●舞台『刀剣乱舞』悲伝 結の目の不如帰

●真剣乱舞祭2018(LV)

 

我ながらとりとめがなさすぎて笑うんですが。

個人的には「贋作・桜の森の満開の下」はブログにも書いてますが、観られて良かったなあと思います。あと、「ポーの一族」は明日海りおのエドガー力が高すぎて目眩がしました。美しかった……。続編が観たいです。

「PARAMUSHIR」はスタイリッシュさと泥臭さの塩梅が凄く好みで、実はTEAM NACSの本公演を観るのが初めてだったんですけど、せめて「悪童」くらいから観ておけば良かったと大後悔。ポツダム宣言後に起こったソ連軍との戦いの話なんですが、安田顕の悲しみがとても印象的でした。

 

そしてそして。

2018年(正確に言うと2017年末からですが)は私にとって鈴木拡樹イヤーでもありました。「髑髏城の七人下弦の月」「舞台刀剣乱舞 悲伝」「私の頭の中の消しゴム」「いんぷろby拡樹」「No.9」と一気に駆け抜けたら1年が終わっていたという、恐ろしい状況に。

決定的だったのは「髑髏」と、円盤で観た「三人どころじゃない吉三」(2016)だったのですが、

natalie.mu

この年末に公開されたこちらの対談を読んで、髑髏と三人~がつながっていたことに感謝しつつ。天魔王を演っていなければ私はこんなに沼落ちはしていなかったと思うんだ……キャスティングの神様に感謝ですよ……。感謝なのか? いや感謝か。お金は貯まらないけど!(笑)蘭兵衛も観てみたさはあるんだけど、捨之介も合うんじゃないかなあと。いや一番観たいのは「蛮幽鬼」のサジと名乗る男だし、もっと言うならば当て書きされた新作なんですけども。

 

何度かブログにも書いてますが、鈴木さんについては舞台弱虫ペダル(主にLV)で観てはいたものの、はっきり「なんかすごいな?!(特に殺陣)」と思ったのは刀ステ虚伝初演のLVで。以後、再演からは劇場のチケットが取れたので、悲伝まで全て劇場で観ることが出来ました(ただし悲伝は福岡の上演中止回に引っかかりましたが)。

 

悲伝に関しては上記ツイートのような結論。でも、悲伝の三日月は髑髏なくしては演じられなかったと思うし、髑髏で見せてくれた天魔王は、今から思い返してみれば、とても鈴木さんらしい、生真面目で不器用で奇妙に掴みどころがなくて、もし殿の幻影に囚われていなければ天下をも狙えていたかもしれない可能性を秘めた存在だったな、と思う。

そこから一気に「普通の人」であるベートーヴェンの弟・ニコラウスを演じることになって、しかも刀剣乱舞の映画とドラマの撮影とどろろのアフレコを挟んでいるから、今年要求された振り幅って実はかなりバラエティに富んでると思うんだけど、1つずつハードルをクリアしていく様子を見ているのは実に楽しいなと。

ということで、これまでやらないようにしていた複数回観劇のハードルが無くなって色々大変ですが、楽しい1年でした。

 

なんでこんなに急激に沼に落ちたのか自分でもよくわからないんですが、多分ふわっとした外見と、刀のような内面のギャップなんでしょうねえ。実をいうと、鈴木さんの演技を観ていて、一番感じるのは「怖い」なんですよ。

なので、御本人のイメージとしては、鞘に包まれた刀というか、抜身になった本性が垣間見える瞬間の鋭さというか、そこにぐいっと引っ張られたんだろうなと思います。だから、三日月宗近は当たり役だなと思うし、天魔王も鈴木さんの持つ性を引き出した役なんだろうなと。ニコラウスはバックラッシュ的な部分があって、この辺りは御本人が役を呼ぶのか、役が役者を呼ぶのか。バランスとして面白いですねえ。

 

そして個人的に、映画刀剣乱舞山本耕史と接点が出来たというのがとても喜ばしくて。新選組!のときに、まだ若いキャスト達が浴びたマスコミからのバッシングが物凄くて、放送前から楽しみにしていた私はかなりマスコミ不信になっていたんですが、新選組!キャストは見事にそれを乗り越えて、大河ドラマで初めて続編が作られるっていう快挙を成し遂げたんですよね。そのときの状況と、今の2.5をメインとしている役者達の状況はとても似ているんではないかというのがあって。

過去と未来がつながる瞬間を見られたようで、とても嬉しかったんですよ。

どうか末永く続いてくれますように。そして板の上で共演するのを観たいです。実際に髑髏の花蘭と下弦天なので、同じ板には立っているわけですが。映画楽しみだなあ……。

 

同じことを感じたのが、「マリーゴールド」に出演していた田村芽実なんですが。めいめいは美しく装飾された銀のナイフで、抜いたら刃物に毒が塗ってあるイメージ。恐るべき20歳。

めいめいがレミゼのファンテーヌやってくれるのを待ってるよ!

 

来年はNo.9の久留米公演からの映画刀剣乱舞と「画狂人・北斎」、そして少年社中「トゥーランドット」福岡公演観劇で幕を開けます。

とりあえずどろろやらTRUMPシリーズの新作やらですでに6月くらいまで予定が決まりつつありますが、来年も楽しく過ごせるといいな。

 

せっかくブログ更新を再開したので、これからもちょいちょい更新していこうかと思っていますので、お時間があるときにでもお付き合いください。平成最後の年末年始が穏やかなものでありますよう。

 

では、皆様良いお年を!

「日本の歴史」2018年12月8日世田谷パブリックシアターマチネ感想

www.siscompany.com

 

2018年最後の観劇は、「日本の歴史」東京からの「No.9」大阪公演に大移動というなかなか面白いことになってたんですが。

 

まだ大阪公演があるので、ネタバレ踏みたくない方は以下を絶対に読まないでください。敬称略。

 

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ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"最強の場所(チーム)"2018年11月10日マチネ

気がついたら平成最後の冬が暮れようとしていますが、11月の観劇記録を今更書いてます。

ということで。

 

実は「ハイステ」に関しては2作目から全部劇場で観ていたんですが、今回烏野高校キャスト卒業ということで、最後まで見届けようと車で広島へ。

……と思ったら、出発前に車のタイヤがパンクして肝が冷えました。ありがとうスペアタイヤ。ありがとう助けてくれたガススタのおじちゃん。

以下敬称略。

 

原作についてはコミックで追っていて、流れとしては頭に入っているんだけど、ハイステは演劇としてのアレンジを入れつつの展開以上に、とにかく試合シーンが大好きで。

個人的に、スポーツものは2.5次元舞台の華であり、商業演劇としての強みでもあり、その最たるものがジャンプ漫画原作の舞台化だと思っているんですが、ジャンプ生まれの「テニミュ」と違って、ハイステはダンスはあってもミュージカルじゃないんですよね。ストレートプレイの文法で、和田俊輔さんの各学校ごとに曲調が見事に違う楽曲に合わせたダンスショー的な要素も持ちつつ、「バレーの試合」描写に全力をかける若手キャスト達の姿を観るのはとても楽しくて。

 

キャリアとしてはベテランの部類に入る須賀健太座長のもと、何度かメンバーの入れ替わりもありつつ、毎回引き締まった試合を見せてくれる烏野高校キャストが大好きでした。

色々感慨深くて言葉にならないんだけど、観ていて特に印象に残っている烏野キャストは、橋本祥平の西谷、木村達成の影山、そして公演を重ねるごとに存在感を一気に増した小坂涼太郎の月山。いや、みんな好きなんだけどね。要所要所できちんと締める須賀翔陽の周りで光るキャストはとてもキラキラしていて、おそらく体力の限界までやっているであろう試合の臨場感も相まって、毎度泣かされて。

特に今回、烏養監督の「下を向くんじゃねぇ バレーは常に上を向くスポーツだ」が聞けたので、そこではぼろっぼろでした。ここまでたどり着いたんだなあ。

 

特に今回、音楽の和田さんがもうひとりのキャストとして舞台裏に控えていたこともあって、役者の動きと音楽が半端ないシンクロ率でピタっと合ってたんですよね。生演奏に合わせて動くシーンの臨場感は素晴らしかった。でも歌で表現するわけじゃないところが、ハイステのハイステらしさなんだろうなと。

 

烏野高校キャストと戦う青葉城西、白鳥沢学園のメインキャストもずっと継続してくれたから、これまで作り上げられてきたハイステの世界を維持しつつ、熱い試合を展開してくれて良かったなあ。

ハイステの好きなところに、試合終了後、敗北チームが観客席に礼をして、観客が拍手を送るっていう一連の流れがあって。

長く続くシリーズだから出来た慣例だと思うんだけど、ここまで到達したことにも胸熱でした。

 

そして須賀健太ですよ。誰よりも華やかで泥臭い日向翔陽は、たとえ舞台の端にいようと、つい視線を向けてしまう強烈な存在感が常にあったんだけど、今回は本当に観ているこちらの胸が痛くなるような体力ギリギリの演技が要求されたと思うので、祈るような気持ちだったなあ。素晴らしかった。毎回宙乗りがあるんだけど、演劇的表現としてとても好きです。

 

とりとめなくなってしまったけど、やっぱり烏野高校キャスト卒業は正直寂しいです。でも、キャスト変更の次に紡がれる物語で、どんな彼らが観られるのかが楽しみでもあるので、今後の展開も期待してます。

 

余談ですが、今回、なんの偶然か、最上手の前から2番目の座席でした。今年髑髏に続いて2回目ですよ……最後の最後ですごい席が来たなあ。間近で観た彼らは、どうしようもなく愛しいバレーボール馬鹿達でした。本当にありがとう。

 

「No.9-不滅の旋律-」2018年11月17日マチネ感想

さて、長い上に推しの話メインになると思うので、吾郎ちゃんファンの方にまず謝っておきます。ごめんなさい。そしてネタバレ全開なのでお気をつけて。

 

 

 

 

 情報解禁されたときに、「え、鈴木拡樹が稲垣吾郎の弟役?!」というのにまずびっくりしたんだけども。しかも、初演は物凄く評価の高かった音楽史もののストレートプレイの再演。さらに、中島かずき脚本・白井晃演出。

 

 そう、白井晃さん。役者としての白井晃さんは、ことごとく、私の人生を変えたような作品(「王様のレストラン」「国民の映画」あたり)に役者として出ているんだけど、実は演出作品というのは観劇したことがなかったのですよ。

 ただ、話を聞いたときに、物凄く漠然と「鈴木さんの演技スタイルと合ってるのでは?」と感じていて、実際に観てからの感想も「うん、合ってるわ!」だったので、最初に話を聞いたときに受ける印象ってそんなに外れないんだなあと。

 

 とにかく、精緻で繊細。隅々まで行き届いていて、舞台のどこを観ても素晴らしく美しくて。

 役者の演技から美術、2台の生ピアノと合唱で奏でられる、三宅純音楽監督により華を添える音楽まで、とにかく隙がない。すごい。

 かといって堅苦しいものでもなくて、エンタメとしても楽しめて、泣いて笑って息詰まる展開を経験出来るバランス感覚ときたら。

 

www.no9-stage.com

 

 一幕ではフランス革命以降、ナポレオンの台頭と帝政を敷いたことから始まるウィーン侵攻とともに変化する時代と、ベートーヴェンが徐々に聴覚を失っていく過程を絡めつつ、そして二幕では完全に聴覚を失い、それとともに精神のバランスを欠いていき、周囲との軋轢が決定的になる姿から、秘書であり同志でもあるマリアの支えも描きつつ、圧巻のラストシーンへと突き進む、そのドライブ感と熱量が凄まじくて、ただただ圧倒されっぱなしだった。本当に、何度も上演されるべき名作だと思う。

 

 何より、主演・稲垣吾郎ベートーヴェンそのもので、普段には聞かない、よく響く低い声と、情熱を全て叩きつけるような圧巻の演技が物凄く印象的だった。稲垣吾郎にあてて書かれた脚本と相まって、ひたすら目を奪われた。

 長く国民的アイドルとして時代とともにあって、私個人は稲垣吾郎出演作品だと映画「笑の大学」やドラマ「二十歳の約束」あたりが印象深いんだけど(あと踊るとか、癖のある役は特に好き)、2年前、あまりにも信じがたい色々を見ることになってしまって、私自身もテレビを取り巻く状況に失望してしまったところがあるのだけれど。

 でも、それがあったからこそ、今、こうして板の上に立つ稲垣吾郎を観ることが出来たっていうのは、メタ的なんだけど、とても不思議な感覚だった。

「ああ、本当に存在しているんだ」と思ったんですよ。しかも、力強く、偏狭だけれど情熱的で、でもどこか脆い、まさにベートーヴェンとして板の上に立つ稲垣吾郎は、紛れもなくこの物語の主役だった。そのことに、とても安堵したりして。

 あんなに酷いことがあってもなお、まだこの世界に残ってくれていたことに、心から感謝した。ありがとう吾郎ちゃん。

 

 そして、ヒロイン役でもあり、ベートーヴェンの恋人ではなく、あくまでも同志であるという立場を貫く剛力彩芽のマリアの、凛とした強さがまた良くて。

 剛力彩芽はもっと舞台に出てほしい。とても存在感のある演技で、何より華があって。

 ベートーヴェンを取り巻く人々、ピアノ職人ナネッテ(村川絵梨)とアンドレアス(岡田義徳)の夫婦、メトロノームベートーヴェンにもたらすメルツェル(片桐仁)、ベートーヴェンを支えるカスパール(橋本淳)とニコラウス(鈴木拡樹)の二人の弟、やがて生まれる甥のカール(小川ゲン)、そしてベテラン勢まで、とにかくキャストにも全く綻びがなくて、安心して観ていられるのは勿論、うまい役者達のセッションを存分に楽しむことが出来るって、本当に幸せなことだなと。

 

 実はまだ大阪と久留米の公演を観に行くので、総括的な感想はまた後日アップすると思うんだけど、鈴木ニコラウスについて。

 

 ニコラウスは鈴木拡樹が演じるのは、自称天魔の御霊でもなく刀の付喪神でもなく、(朗読劇以外では)多分久しぶりなんじゃないかという普通の人。兄を愛し、好きな女性が出来、けれども天才肌の兄とは亀裂が生じ、最終的には袂を分かつ。それでも、最後まで兄に対する敬愛の情は捨てきれない、普通の、普通の人。

 なんだけど、ニコラウスにはその横軸のキャラクターとは別に、時間の経過を体現するっていうなかなかにヘビーな役割があてられているようで。

 というのも、作中で時間が多分30年近く経過するんだけど、大体経過して最初のシーンに絡んで出てくるのがニコラウスで、その度に容姿が違うし、何より声の高さが徐々に年齢を経たものに変化していくっていう、下手を打てば時間経過が混乱しかねない(しかも二幕にそこを利用した仕掛けもあることを考えると)縦軸部分を担っていて、それは役の人生と絡めつつも、絶対に演じ分けないといけない課題のようなものだと思ったんですね。

 で、私が観た11月17日時点で、その縦軸に関しては申し分なく表現されていると思ったし、鈴木さんは老け役うまいよなあと改めて感じたわけですが。

 ただ、横軸の部分、ニコラウスのキャラクターについて、何かを慎重に模索している風に感じられたんですね。まだ序盤だっていうこともあったと思うんだけども。とてもチャーミングな、優しい性格の弟だと思ったんだけど、本人はまだその位置に納得していない風な何かを感じて。

 だから、このときに私が観たニコラウスは、今ではもう違うものになっているのかもしれないし、大楽ではもっと違っているのかもしれない。

 今回は中盤の大阪公演と、久留米大楽が観られるので、その辺りの変化も楽しみにしようと思っています。

 

 正直なところ、次の再演で、鈴木さんがニコラウス役をもう一度やるとはあまり思えなくて。というのも、初演が加藤和樹さんだったのもあって、二人の兄弟役は再演を重ねる度に変わるようなポジションなんじゃないかなと感じたんですね。稲垣ベートーヴェンが不動だからこそ変化を求めそうな座組というか。

 だからこそ、大楽でどんなニコラウスになっているのか楽しみにしつつ、奇跡の再演を満喫したいと思います。

 

 推しが面白い作品に連れてきてくれるって、最高の喜びだなあと改めてしみじみしつつ、12月は慎吾ちゃんの「日本の歴史」からの大阪「No.9」のハシゴです。まるで新地図担のようなムーブだ。

「魔界転生」2018年10月27日博多座マチネ・2018年11月17日明治座ソワレ感想

こちらは日テレ制作で堤幸彦演出・マキノノゾミ脚本という、超エンタメ時代劇。

一緒に観劇した友人から真田十勇士の話を聞いていたので、ようやく観られたんですが。

博多座観に行ってすぐにチケット増やしましたね……いやー怖いわー。

 

 遥か昔に沢田研二が出ていた映画版をテレビ放映のときに観てるはずなんだけど、何しろ昔過ぎて覚えてない&原作も読んでないっていう状態で観に行ったんだけど、むしろ昔の知識はなくて正解かもしれないし、真田十勇士観ておけば良かったっていう後悔の方がデカいっていう。

makaitensho.jp

 

 あらすじについてはこちら参照なんだけど、上川隆也の時代物は本当にいいねえ……上川さんの重さも軽みも自由自在な演技と殺陣が素晴らしくて、あの華はどこから生まれるんだろうと見入ってしまったし。

 

 なにより。松平健様ですよ。上様ですよ。

抜刀する、刀を構える、その姿だけで強そう。美しい。無駄がない。

 重厚な太刀筋に、年齢を全く感じさせない速さ。

 クライマックスの上川さんとの殺陣対決は息を呑むしかなかった。震えた。

あまりに格好良くてしびれました。本当に寿命が伸びる……いいものを観た……。

 

 知識がない状態なので昔の作品と比べることは出来ないんだけど、浅野ゆう子高岡早紀の間に生まれるシスターフッド的な連帯とか、現代的にアップデートされている部分もあって、すとんと心に落ちてきたんですよね。多分、いい塩梅のアレンジなんじゃないかなーと思っていて。スプラッタ感は満載なんだけど。

 

 そして2.5から飛び出してきた若手俳優陣の中では、特に村井良大・玉城裕規の二人が印象的で。軽妙な、それでいて過去の重さを滲ませる村井くんの演技の上手さはどこか上川さんに通じるものがあったし、悲劇の復讐者でありながらどこか道化者めいた雰囲気を醸し出す玉城くんは、殺陣の見せ場も多くて大変見応えがありました。

 ベテランが若手を見守っている雰囲気があって、その辺も良かった。溝畑くんは、妖艶というよりは実直で誠実であるがゆえに道を誤ってしまった天草四郎といった趣で、どこか清潔な感じだったのも面白かった。

 

 堤幸彦演出については、個人的に映像作品だと合うもの合わないものが半々くらいで、実はちょっとビクビクしながら観た部分があるんだけど、さすがというかなんというか、生身の役者達との演技と映像効果がハイブリッドな融合を果たしていて、凄く面白い効果だったなあ。映像をやってきた人の発想じゃないと出来ない演出だと思うし、だからといって演者の熱演を邪魔するものではないし。スクリーンの移動で効果を見せるのが気になるときもあったんだけど、映像ならではの臨場感もあっていいかなと。殺陣の凄さにうまく上乗せされていたように見えた。

 

 多分、劇団☆新感線と文脈としては比較対象になるんだろうけど、アプローチは真逆というか、新感線は舞台作品ベースの考え方が根底にあるし、堤演出は映像作品ベースの考え方が根本にあるんだろうなっていうのも感じて面白かった。

 私はこういうアプローチの仕方、好きです。

 

 今後も新作を継続して作って欲しいなあ。今度はちゃんとチケット早めに取ります……(笑)

 

 

NODA・MAP「贋作 桜の森の満開の下」2018年10月27日北九州芸術劇場ソワレ感想

気がついたら師走に入ってましたよびっくりだ。

そろそろはてなダイアリーに置いているログの移行を開始したので、そのうちプロフィールにのっけます。途中からツイログオンリーになったけど、ライフログみたいなものなので残しておこうかなと。

 

ということで、観劇感想をぼちぼち。

 

 初演は平成元年というこの作品、実は名前しか知らず、TLで色々な方が「チケットが取れない」と言っていて、私も先行応募したら見事に落ち。

 北九州公演の一般発売にトライしたら、3階席が1枚だけ残っていたので、慌てて確保したのでした。

 

 観終わって一番に抱いたのは、「これをもっと若い時に観ていれば……!」という、後悔とも安堵ともつかない感情。そこから、なかなか感想を文字に起こせないまま、今に至ってしまったわけですが。

 

 ペダンティック押韻の美しい、意味のあるようなないような台詞の数々。ただただ精緻なセットと散る桜。板の上を覆う大きな紙と、それを突き破って出てくる鬼たち。生と死の境目が曖昧な世界の中で、少女であり悪女であり、恐怖を感じるほどに美しいファムファタールであるところの夜長姫・深津絵里が、運命に魅入られた耳男・妻夫木聡に投げかける言葉は同時に観客への問いかけのようでもあり。

 クライマックス、夜長姫に手をかけ、桜を骸に被せながら身も世もなく嘆く姿があまりにも痛々しくて、引きずられるように泣きながら、「ああ、もっと早くに観たかった」と思ったし、今、観られてよかったとも思ったし。多分、これをもっと若い頃に観ていたら、完全に板の上の魔物に魅入られていただろうから。

 

 ポスト・モダンという言葉がまだ力を持っていたであろう頃に書かれた戯曲は、おそらく私では簡単に理解出来ないような沢山の知性に満ち溢れていて(観たときは監獄の誕生くらいしかわからなかったので、そのうち戯曲を読みたい)、どこか懐かしくて、今はもう遠い、平成とともに消えゆくものを惜しむような、振り返るような、上演時期も含めてとても時流に乗った、そういう部分も含めて、伝説の芝居なんだろうなと。役者としての野田秀樹はちょこちょこと見る機会があったんだけど、劇作家として、本当に天才なんだなあ。

 

 深津絵里は圧巻だった。もう本当にすごい。特に声の色が鮮やかに変わる瞬間、その恐ろしさに震え上がるのだけれど、次の瞬間には子供のような舌足らずの高い声を上げて笑う、その表現の幅に、まるで耳男のように惚れてしまいそうだった。耳男の妻夫木くんは、舞台映えする演技を探っている最中なんだろうなと思ったんだけど、夜長姫を想う気持ちの強さが痛々しくて、気持ちを思い切り引っ張られた。

 男役としてオオアマを演じた天海祐希もまた素晴らしくて。威厳と野望と、抱えた闇の艶やかさ。

 軽やかな古田新太、鬼になった名人達・藤井隆大倉孝二達の賑やかさ。

 

 クライマックスで降りしきる花吹雪は、3階から観ても圧巻で、今思い出してもため息をつくような、狂気と悲しみと美しさに満ちた瞬間だったなあ。

 

 今もうまく言葉には出来ないんだけど、花びらの下に埋まっている夜長姫の骸は、いつか骨になってしまっても、さぞかし美しいんだろうと、妙に感傷的なことを考えてしまった。

 

 演劇は体験だ、と思わされる古典の再演に立ち会えたのは、とても幸せだと思う。

 

 

 

ミュージカル「マリーゴールド」2018年9月8日大阪ソワレ感想

さて、繭期入門したばっかりの人がTRUMP~グランギニョルを一気に観た後、友人が確保してくれた見切れ席という名のすごく見やすい席(一般先行先行全滅だったんですよ……)で観劇してきた感想です。

 戯曲集は品切れだったのでパンフレットを購入したんですが、用語があんまり頭に入ってないから、考察は全くないです。そういうのはベテランの繭期の方にお任せして!

以下ネタバレしかありません。お気をつけて。

 

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まず、観に行く前に日テレプラスでTRUMP→YouTube配信でSPECTERとグランギニョル、最後にU-NEXTのLILIUMを観てからマリーゴールド観劇に臨んだわけですが。

で、イニシャルの印象では。

「あっあっLILIUM女の子かわいい展開エグい好き、グランギニョル染様つらい、ちょっと待ってソフィ……ウル……」

というあんまり人間の言葉になってない感想だったんですけども。

 

開演しょっぱなの

「シルベチカ」

で精神的にボコられました……観てて良かったLILIUM……。

 

そこからずっとボコボコですよ……ガーベラに花言葉を紹介するシーンでLILIUMの登場人物の名前がずらっと並ぶとかどんな辛い展開よ……。

 

 ただ、鬱々とした展開というよりは、個人的にはとても愛に溢れた展開だと思ったんですよ。

 個人的にシリーズのどこかで妊婦が自分の腹をかっさばいて赤子を殺そうとする展開がどこかにあるかもしれないと思ってたんだけど、アナベルはすごく異端の子であるガーベラを愛してるじゃないですか(自分の発想がひでーな)。

 

ガーベラを不器用に愛し護る母アナベルアナベルという最愛の家族を辛い目に遭わせてきたと思うあまりガーベラを憎むアナベルの妹エリカ、どこかつかみどころのない、しかしガーベラとアナベルを想う気持ちは確かに持っているヘンルーダアナベルに惹かれ家族になりたいと願い、ガーベラを疎んじるコリウス、そして母以外の全ての人間から憎まれ蔑まれる繭期のダンピール・ガーベラ。

 全ての想いは一方通行なのだけれど、個人的にとても好きだったのは、誰かが別の誰かに向ける愛情のベクトルの長さ大きさは等価で、男女だからとか、姉妹だからとか、親子だからとか、それで差別化したり強弱をつけたりすることのない、ある意味平等に誰の想いも報われない世界であるというところで。

 最期を迎える瞬間に、もしかしたら、彼らは愛する人のために死ぬことでその想いが成就した、という満足感を得るだけなのかもしれないけれど、そこが何故かとても心地良かったんですね。

 

 それはLILIUMにおける永遠のクランを作ろうとしているソフィも同じことで、彼のウルへ伸ばした手は永遠にウルに届くことはない。紛い物のウルを作ったところで、彼は「僕は君、君は僕」とソフィに返してくれることはない。

ウルが「親友だろう」と言い放った瞬間のひやりとした空気は忘れられないなあ……。

 TRUMPの頃から考えると、ソフィの歪みっぷりと孤独が辛くて、途中から「やめろ……やめてくれ……誰かソフィを救ってやってくれ……頼むよクラウス……」と心の中でずっと祈っていた気がする。しかも偽物のウルが星の轍を歌うとかどんな地獄だよ……。

 これ、LILIUMでファルス=ソフィを演じた工藤遥さんが観劇していたらどう思ったんでしょうね……三津谷くんがLILIUMで立ち上がれなかったのよくわかるよ……。

 

 そしてガーベラですよ。小さな家の中で、希望と名付けられ、ただひたすら母と自分だけが世界の中心にいた少女が、最後に母親から呪いの言葉を投げつけられた挙げ句、父も母も喪いひとりきりになってしまった自分に「マリーゴールド」・絶望と名付ける瞬間の痛々しさときたら。それがLILIUMのラストに繋がるのかと思うと、末満健一に人間の血は流れてるのか。酷い。

 

 いやまあLILIUM好きなんですけどね!!

 

 あと、非常に当たり前の感想を言うと、ミュージカル歌唱が完璧なキャストの方々が揃っていて、とても聴き応えがありました。壮さんと愛加さんと吉野さんetcは当然にしても、東くんと、何よりめいめいこと田村芽実さんですよ!!!

 東くんは今年に入って国際フォーラムで「マタ=ハリ」を観ていて、「うっわ歌うまい発声もいい早くレミゼでマリウスやって」と思ったんですが、めいめいの圧は凄かった……これで19歳とか嘘でしょう……レミゼでエポニーヌやって欲しいし、何なら30歳過ぎてからファンテーヌもやって欲しい勢い。歌に込められた感情が溢れているのがとても良くて、ああ、ミュージカルを観たなっていう満足感が凄かった。

シアター・クリエあたりで観劇してみたいなあ。再演しませんかね?

素晴らしい女優さんであり歌手だなあと。今後が楽しみでたまらないです。

 

 そしてTRUMPシリーズ10週年おめでとうございます。早く続編観せてください……そして末満さんには長生きしてもらって、ちゃんと完結まで脚本書いて下さいと編集者みたいなことを言ってみる。

 とても苦しくて切なくて愛に溢れた、絶望の物語でした。