ゆうきさらのほんよみにっき@はてブロ

はてなダイアリーから引っ越しました。ゆうきさらが読んだり見たりしたものを気ままにつづります。

髑髏城の七人Season月【上弦&下弦LV】と【下弦の月】3回目を観に行ってきた

1月13日に2回目を観たあと、23日と24日の上弦下弦ソワレLVと、2/5の下弦をステアラで観てきた。以下敬称略。そしてネタバレしかないので要注意。

 

上弦はステアラのチケットを何度応募してもダメだったんだけど、LVでようやく私の月が満月になった……これで一安心。

で、風・月上弦(LV)、月下弦(会場とLV)ははっきり観てきたと言えるんだけど(ゲキシネで観たのは何か覚えてない……)、結論としては「みんなちがってみんないい」だなあと。向井理の蘭兵衛も好きやで。脚本の構成がシンプルな一人二役版もいいなあ。

上弦に関しては、「顔がいい……」とひたすら画面を見つめてた気がする。顔がいいって物凄い武器だと思うし、だからこそ映像で観て良かったなあと。あと、各役者の個性を出すことで見せ場をガンガン繋いでいくのに物凄く新感線ぽさを感じた。

早乙女天魔王は流石の所作と殺陣でした。若いのに凄いなあ。

個人的に印象が強かったのは須賀健太の兵庫。最後の太夫とのシーンはとっても可愛らしかったよ……年の差を若さで乗り越えようとする強さ最高だったなあ。

あと、上弦は全体的にどこかダークな空気が消えないのと、蘭兵衛が思ったよりもゴリラな雰囲気があって楽しかった(ほめてる)。いやどうしても下弦ベースになっちゃうもんですみません……。

私が上弦をこれ以上語るのは野暮な気がするので止めとくけど、上弦下弦どちらも、将来有望な役者さん達が揃っていると思うので、どうか色々な場所で満月を見せて欲しい。

 

さて、下弦感想。

LVと2/5の間が2週間程しかなかったんだけど、かなり変化があったように感じたのと、何より2/5がまさかの実質最前列で役者さんたちの表情がオペラグラス全くなしで観られるという、チケット運を全部使い果たしたかのような席だったので一緒に語っておく。

12/4の公演後にどうしてもリピートしたくて戻りチケットを取ったんだけど、まさかこんな席が来るとは思わなかったよ……ステアラちゃんがお恵みをくれた…一番端だったから死角になる箇所はあったんだけど、塩素の匂いはするし役者さん達が武器を振れば風が吹くしなんなら舞台が揺れるのも伝わるしで目を白黒させながら観てた。

yuuki-sara.hatenablog.com

yuuki-sara.hatenablog.com

一応過去ログも貼っておきます。

 

 で、LVから。1/13の時には増えてたアドリブが、LVだというのにさらに好き放題やってる感じになってて、一幕の間は大丈夫かこれ、と爆笑しながら観てたんだけども。

 鈴木天魔王が時折軽さを出しつつ締めるところを締めていて、二幕頭の口説きのシーンがとにかく圧巻だった。

 そして廣瀬蘭兵衛が無界屋を離れるときに微笑んで一礼したりとか、蘭丸覚醒してから、殿の骨をしゃぶってたりとか、自分の顔を刀に映して紅を引いたりとか、観たかったシーンを大体抜いてくれていて、大変眼福でしたよ……。あれ、蘭兵衛ばっかりだ。おかしいなあ。いやまあ舞台観てるときは天魔王に視線が行っちゃうんだよ(言い訳)

時々カメラワークがバタついてるなっていう部分もあったけど、いずれうまく編集されて、ゲキシネやDVDになってくれることを期待しつつ。

 あと、天魔王が「天は私のものだ」と言ったあとに投げキッスするところな……。よく抜いてくれたよ……。

ソワレ蘭丸はラストで唇からも血を流していたんだけど(倒れたときに切ったのかな……)太夫が息を引き取った後に掌だけでなく唇も拭ってあげていて、そこで号泣してしまった……実はそれまで、髑髏城という演目でガチ泣きした事がなくて。むせび泣いたことはあったんだけども。しかもリピート鑑賞している演目で。自分の心の動きにもびっくりした。

 そして、常に下弦のど真ん中には宮野捨之介がしっかり立っていて、けれども一人で立っているのではなくて、常に誰かとの関係性の中で他の誰かが浮き上がってくるという不思議な連帯感があって、とても安心して観ていられるなあと実感したのがこの時。

遠慮なく笑って泣いて楽しんで、「ああ、いいお芝居を観た!」といい気分で会場を後に出来る作品なんだな、と。

 

 そんな信頼感のようなものを持って挑んだ2/5。結論から言うとLVからさらに進化と深化をしていて、正直びっくりしたし、最後まで全公演観られないことが悔しい、と改めて思った。

 2/5公演で印象が強かったのは伊達渡京。立ってるだけ喋ってるだけで面白いどういうことだ……?! これまでも面白かったんだけど、印象の強さが違ったし、二幕で霧丸と組んで剣布をだます展開が、霧丸の棒読み具合も相まっておかしいのなんの。

 そして、現在の捨之介、蘭兵衛、天魔王から、8年前の、さらに言うともっと過去の三人と、それを繋いでいた織田信長が見えてくるという不思議な感覚に陥り。

 

 二幕で「天は私のものだ!」と断言し投げキッスを送る鈴木天魔王は、実は織田信長のマントにすら触れることが出来なかったのではないのか、とそのとき初めて思ったんだよね。

 深い深い孤独。狂気に満ちた崇拝。それは人間に対してのものというより神を崇めるようなものではないのか、というのを12月に観たときから考えていたんだけど、投げキッスって直接キスが出来ないからこそ送るものでもあるから……。

 

 以下個別感想。正直舞台が近すぎて正気を保てなかったので、死者の繰り言だと思ってくれ。

 

宮野捨之介ーマイクオフの声が物凄くはっきり聴こえてきたんだけど、まあよく喋るし他の役者さんの台詞や行動にきっちり反応していて、舞台のライブ感はマモ捨だからこそなんだな、と改めて。表情もくるくる変わるし、板の上に立っていてとても楽しそう。

 兵庫の日替わりアドリブ「ズラしまたろう」をガンテツルームで拾って、贋鉄斎が「あっはっは!」と笑ったもんだからこっちの腹筋も崩壊してしまった。

 かと思えば、二幕後半の捨天対決のとき、天魔王を止めきれずに縮こまって慟哭する様子があまりにも痛々しくて、そして後半になればなるほど息が荒くなる、苦しそうに喘ぐのに台詞はきちんと耳に入るというトップ声優の妙技を堪能。

 本当に凄い声の演技だと思う。宮野捨之介の最大の武器は感情が余すところなく全て詰まった声だと個人的には思っているので、それがさらに研ぎ澄まされているのに目を見張った。

 実のところ、宮野さんのアニメでのデビュー2作めの「WOLF'S RAIN」をリアタイで見て「ふーん、声優デビューしたばっかりなのか」なんて思っていたんだけど、今こうして、舞台で主役をやってる宮野さんを観ることになると思わなかったから不思議な感じ。

 殺陣も大きな身体を活かしたダイナミックなものになっていて、魅せ方をよくわかってるんだなあと。もう一つの武器である歌を今回の舞台では封印しているから、機会があればミュージカルでも観てみたい。でもマモ捨好きだよ……飄々としてどこも痛くなさそうなフリをしているのに実は脆いマモ捨本当にいいよ……。翳った太陽を支える松岡霧丸がまたいいんだよ……。

 

松岡霧丸ー捨之介と対で書いた方がいい気がしたのでここに。喜怒哀楽のはっきりした元気な役どころは変わらず、捨之介だけでなく他の登場人物との関係性が深まって、ラストにシルエットで見せる「髑髏城の七人」の縁を繋ぐ存在としての強さを見た。そして元気だしめちゃくちゃ動きが機敏。スケボーで移動しているところがとてもカッコよかった。

 そして髑髏城脱出のときに、ボロボロの捨之介を支えて、ずっと肩を組んで戦って、さらに崩折れた捨之介を軽く抱き寄せて元気づけるシーンがとにかく男前で、下弦は復讐心に囚われた少年の成長譚としても味わい深い……。とにかくまっすぐで、捨之介に降りかかる死の影を追い払えるのはこの子しかいないっていう説得力が凄い。沙霧という女の子から霧丸という男の子に変更された理由が見えるというか、月の百人斬りは捨之介ー霧丸ー贋鉄斎のコンビネーションが最高なので、少年漫画の主人公ド真ん中の霧丸はとても気持ちいい。

 松岡くんがまだ20歳なのも衝撃的だし、ナルトでは海外公演も経験してたと思うから、経験値としては十分過ぎるくらい積んでるんだよねえ。将来超有望だなあ。

 

廣瀬蘭兵衛ーとても優しい、優しいが故に太夫の広い愛に自分の情を重ねて生きて、でも信長への愛を忘れられなかった人なのだな、と思う。

 一幕の無界屋はまるで楽園のようで、太夫と二人並んで楽しそうに喋っている姿は仲睦まじくて。遊女とハイタッチしているのもかわいかった……。兵庫が割って入ろうとして失敗したりもしていたけれど、マイクオフで二人で話している姿があまりにも尊くて眩しかっただけに、二幕の無界屋襲撃は、自分が逃げ帰る楽園を壊して退路を断つための儀式のようなものだったのかな、と。

天魔王に口説き落とされて美しさを増す瞬間にゾッとした。凄かった。

 低くドスの効いた声を出す場面が増えていて、儚さは薄れたのだけど、その代わりに一幕でとても楽しそうにニコニコと微笑むから、蘭兵衛として確かに無界屋を愛していたはずなのに、と二幕で「なんでそうなった!」と絶叫する太夫に同調してしまう……。

 でも、愛しているから壊したくなる人なのかもしれないなあと。

 そして、捨之介とはそれなりにいい関係を築いてきたんだろうな、というのが、捨之介→蘭兵衛への頭ナデナデ、以外にもちょこちょこと二人のやり取りから見えて、余計二幕がしんどかったよ……。そりゃあ捨之介、兄弟みたいにかわいがってた蘭兵衛にいきなり襲われたら身体以上に心が辛いよねえ……。

 友人が反対側の端から観ていたんだけど、無界屋襲撃のシーンで「蘭丸がとても哀しい目をしているのに口元は楽しそうに笑っていて、観ていてゾッとした」と言っていて、それ超観たかった……!

 あと、殺陣が素晴らしかった。物凄く綺麗だった。目を開けたまま事切れて、捨之介が目を閉じさせてやるシーン大好きだよ……。太夫が拭ってくれた手は血が取れただろうかと思いながら泣いてしまった。

 

はい、飛ばしてる人がいるけど、長くなるのでラストに持ってくるよ!

 

羽野太夫ー大好き。下弦の要だと思う。この人が可愛らしくてかっこよくて強くて弱くて素敵だからっていうのも、私が下弦を好きな理由の一つで。霧丸に対しては母親のように、蘭兵衛に対しては妻のように。捨之介に対しては太夫らしく接して、兵庫に対しては友人以上恋人未満の上手い距離感を保っていて、というバランスが、二幕で崩れてしまってからの絶望の演技が凄まじくて。

 無界屋襲撃のときに、みんなが事切れた後くらいからずっと泣いていて、でも必死で抵抗しようとする姿は美しかった。そして二幕の兵庫に守られるシーンで、兵庫と手をつなぐのがとても尊い……私は太夫には何があっても幸せになって欲しいよ……兵庫全力で幸せにしてやれよ……。

 ラストの場面で、霧丸が太夫に「ありがとう」っていうのがとても好き。二人でハグするのも、互いに大切な人達を喪ったけれど、それでも新しく大切な人を手に入れた同志がする激励のようで。

 羽野さん本格復帰舞台を観ることが出来て良かった。

 

木村兵庫ーとっても安定感と侠気があって、台詞回しも軽妙で、かと思えばアドリブで大やけどしてマモ捨と二人でガッタガタになっていたりで、最高のアニキ。荒武者隊(荒武者隊の日替わり歌は「むっかっいのさとだね~♪(プリンセスプリンセス・DIAMOND)」)と一蓮托生だったのが、太夫と同じように大切な人たちを喪って、改めて太夫と同じステージに立ったときに、二人の関係性も変わっていくっていうポジションの変化も含め素敵だった。一幕のペースメーカーはまさに兵庫だなあと。一幕二幕どちらとも、おっとういん平さんとの掛け合いが最高オブ最高で、おっとうの謎ヨガっぽいダンスからの日替わりは毎回ネタ考えるの大変だったと思います……。あとちょっと頑張って……!

 太夫へのプロポーズ毎回泣くんですが、今回はおっとうとの掛け合いのシーンが目の前だったので、そこで既に泣いてしまった……おっとうの服、荒武者隊の服をかき集めてるんだよねえ……。

 

伊達渡京ーあのー、近くで観るとめちゃくちゃイケメンなんですが! いや基本イケメンしかいないけど!! 一輪車すごい勢いで漕いでたよ!

 存在してるだけで面白いのズルい!! 好き!!

渡京さんは日替わりがあんまりないから、今からぶっ込まれるんじゃないかとヒヤヒヤしてるんだけど、剣布ちゃんとのシーンでの「吐け(刷毛)ー」に今更気がつきました。ダジャレだったのか。

 

中村贋鉄斎ー一幕一番の尺取り&笑いどころ。前期と比べてランタイムが10分くらい増えてるんだけど、面白いから仕方ない(笑)

 マモ捨との掛け合いが最高に面白いんだけど、特に面白いことを言ってるわけじゃなくて、マモ捨が何気なく「ボソッ」と言ったことに二人も客席も耐えきれなくなって爆笑する感じがあるなあ。いや中村さんも面白いし、生駒ちゃんの潔癖症日替わり(この日は「この際だから言わせて下さい、ポンジュースのプルタブが缶の中に入ってジュースに浸かるの無理、考えたのアメリカ人?」→贋鉄斎丸無視。そしてポンジュースのある髑髏城とは)も最高なんだけど。

 でも二幕に入ってからのシリアス展開がとても良いし、中村まことさんいい声してるんですよね……。猫ホテも観に行きたいなあ。阿佐スパも観てみたい……。

 

 鈴木天魔王ーさて、トリです。長いです。

 12月、1月、2月と観てきて、表層での変化はあれど、安定感が凄まじかった。捨之介と蘭兵衛が変わるにつれて対応する演技は変わるんだけど(例えばラストの捨天対決での表情の深まり方だったり、蘭兵衛の芝居が重くなるにつれて天魔王の口調が軽くなっていったり)あくまで三人のイメージが重ならず、対照的になるように、という方向での変化だった気がする。メイン三人のバランスを終始考えていたイメージがあるんだけど、かといって本人の演技がおろそかになるのではなく、胸に刺さる具合は観る度に深くなっていってた。

2/5は冒頭シーンから呑まれて、一幕の途中あたりで、捨之介達に抱く自分の感情を振り返り、「あれ、自分、もしかして今、天魔王の気持ちに同調してるのか……?」と気がついてびっくりしたくらい。一幕は冒頭と途中のシーンしか登場しないからまだそうでもないんだけど、二幕の口説きのシーンあたりから、正直台詞に呑み込まれるというか、蘭兵衛が蘭丸に堕ちてしまうその瞬間に同調させられるような、暴力的なまでの引力があって。蘭兵衛に対しては最初、軽妙な口調で髑髏城の現況を説明するんだけど、そこから信長のことを引いて蘭兵衛を口説き落とす様子に、蘭兵衛と同じように「やめろ……やめてくれ……」と心の中で呟いていた気がする。

 とにかく、登場すると、その場の他の登場人物にはない異物感というか、異質な存在感にぞくりとして、けれども目が離せなくなるという。

 そういやこれ舞台刀剣乱舞を一番最初に会場で観た時にも同じ思いをしたわ……。

 だからといって自分だけ目立とうとは一切していないというか、むしろスポット来ていないときに気配を隠す感じは、前期に観たときよりもはっきりしていたと思う。他の人物に目線を誘導するような動きもあるのかもしれないなあ。だからといって演技が消えるのではなく、舞台の上では常に天魔王としてそこにあるんだけども。

 LVからずっと表情が観られる状態だったんだけど、とにかくまばたきをしない。ずっと目を見開いてる。視線を落とすときにはまばたきをするんだけど、顔を上げて、カッと見開いた目に睨みつけられると身体が竦むっていうのを初めて経験した。

 あと、表情がとても歪。そして、捨之介や蘭兵衛が「仲間」という度に嫌そうな表情を浮かべるのは、きっと面白くなかったからなのだろうと。

 八年間、天魔王はきっと真面目に努力を重ねて今の地位にあったのだろうけど、蘭兵衛に髑髏城を任せようとし、捨之介を天魔王の身代わりにしようとした彼は、天魔王であることを「捨之介」のように捨てたかったのかもしれない、と思い。下弦では天魔王は蘭兵衛の目を斬るんだけど、それも、蘭兵衛の目に(記憶に)残った自分の姿を消したいという願望があるからなのかな、とか。

 マイクオフの鈴木天魔王が、「捨之介……捨之介……!」と昔の「地の男」ではなく、捨之介が自らに与えた名前を呼び続ける、それは羨ましさと表裏だったのかもしれない。

 そして焦がれた天はとうの昔に落ちた。天魔王に部下はいても仲間はいない。蘭丸は自ら仲間を殺し、蘭丸自身も斃れ、意趣返しは出来たかもしれないけれど、蘭丸に庇われたことで心にヒビが入り、最終的に捨之介に鎧を剥がされ追い詰められるその姿は、自らが招いたこととはいえあまりにも惨めで、憐れで、だからこそ、天魔王は捨之介が一旦引いた刃で、とても衝撃を受けたような、悲しさすら感じる表情を浮かべたあと、強引に自らを貫いて、「偽物の天」すら止めようとした捨之介への意趣返しをしたのかもしれない、と思わされ。

 

 退場のシーン、背後から光を浴びる中、天魔王の口元にどこか嘲るような笑みが浮かんでいるように見えて。もしかしたらそれは私の勘違いで、実は違うのかもしれないけれど、それを観られて本当に良かった。

 髑髏全部を観ていない私が言うのはアレなんだけど、その狡さや弱さ、滲み出る生真面目さやクレバーな部分を隠せない感じは、鈴木拡樹の天魔王なんじゃないかなあ。

 恐ろしくて、狡猾で、惨めで、小さい、けれど徹底的に悪の花として存在する鈴木天魔王は、私が観たかったヴィランの姿そのもので。

 同じことを繰り返してしまうけれど、鈴木天魔王を観ることが出来て、本当に良かった。天魔王としてキャスティングしてくれたことにただただ感謝しかない。

 

 あと、マモ捨と同じくらい、声の演技が素晴らしいんですよね。廣瀬蘭がドスを効かせるようになった時期と、鈴木天魔王が高めの声や少しコミカルな口調を入れるようになったのって同時なんじゃないかなと。下弦は終始どの人物も台詞が聞き取りやすいんだけど、声のトーンが重ならないというのも大きくて。

 実は宮野真守がアニメ版、鈴木拡樹が舞台版で同じキャスト(伏見猿比古)をつとめた舞台Kをチラッとだけ観たんだけど(まだ全部は観てないのでそのうち)、全部分じゃないにせよ、「鈴木拡樹が宮野真守の声帯で台詞言ってるぞ」って目を丸くすることがちょいちょいあって、その時に「宮野真守的な発声」は研究していると思うし、廣瀬智紀に関しては舞台弱虫ペダルで何度も共演しているから、おそらく意識的に差異を作っているんじゃないかなあと。

 舞台俳優に声の良さは必須だと思ってる人間なんだけど、鈴木拡樹はまさにそれを持っていると思うので、そこも武器としてこれから使っていくんだろうな。

 

 とりとめなくなってしまったけれど、下弦チームはまだこの段階でも更なる高みを目指していて、千秋楽に向けてめちゃくちゃ磨いていくだろうから、最終的にどんなものになるか見届けたかったなあ。

 素晴らしい作品をありがとう。この座組はもうすぐゴールを迎えるけれど、どうか最後まで怪我なく駆け抜けて欲しい。

 もっと書きたいことがあったはずなんだけど、思い出したら追記しよう。

そしてアンケートもちゃんと書いて郵送しよう……アンケート大事。

 

髑髏城の七人Season月【下弦の月】2回目を観に行ってきた

今更の話なんだけど、こっちははてなダイアリーが現在ツイートログ置き場になっている関係で急遽アカウント作ったブログのため、タイトルにHNが入ってるのがとても恥ずかしくてな……かと言って今更ブログタイトル変えるのも何か変なので、とりあえずこのままにしときます。しかし本読んでないな!

 

以下は敬称略。

 

突発観劇ツアーの話その1。

年末、友人と刀ステジョ伝を観に行ったときに、「次回作で鈴木拡樹の三日月続投が決まったら1月に髑髏城を観に行く」という謎の賭けをやったところ、見事にPVで告知されたので、急遽戻りチケットと飛行機を取って、1/13マチネを観に行ってきた。

ええ、ボーナスを三途の川に捨之介ですよ……でも行って良かった!

 

ということで、1回目の感想はこちら。

yuuki-sara.hatenablog.com

 

元々東京へは飛行機じゃないと往復しづらい田舎住みなのもあって、一つの舞台を多数回観に行く、という経験は実はほぼ初めてなんだけど(ライビュは除く)、ロングラン公演で定点観測的に観に行くっていうのがこんなに楽しいとは思わなかった。

12月の時と全然違う!!

前回観たときは、まだ手探り状態だったんだな、という再発見だったり、「あ、台詞増えてる」とか「ここの演技変わってる」とか、その1箇所で全体の印象が変わるような変化が入ってたりとか。これはなかなかに楽しいなあ。沼だけど。

何より、熱量がもっともっと高まっていたように感じたし、日替わりとかアドリブとか増えまくってて、けれど舞台の中心で宮野捨之介がきちんと主役をしてるから、座組の空気を壊すことなく世界が深まっていて、「これは楽しい! すごい!」っていうアハ体験を沢山出来た気がする。座組がお芝居にノッてくるってこういうことなのか、と見せつけられた気分。楽しかった!

 役が身についてくるってこういうことなんだなあと。これは多ステする方の気持ちがよくわかる。物理的な距離とお財布の関係でどうしても難しいんだけども!

そして贋鉄斎と捨之介のコーナーがアドリブだらけのおもしろコントコーナーになってたのが爆笑もので。笑いすぎて手を叩きそうになるのを必死で我慢してた。

鳥のときは阿部サダヲ池田成志さんだったんですよね。今更ながら鳥もせめてライビュで観ればよかったなあ(風はライビュで観たけど、花鳥は他の用事と被ってたのもあって全く観てない。今となるともったいないことをした……)

 

以下ネタバレ含む感想。昔から髑髏城を知っている方にとっては「何言ってんだ今更」かもしれませんがご容赦を。

 

 

 

 

宮野捨之介。「下弦の月」のセンターに主役としてきちんと立って、舞台の上で生きていたのがとても良かったなあ。ちょっと鼻声だったから心配になったけど、声が通るのは全く変わらず。素晴らしい技術だなあと思う。殺陣が身体に馴染んできたみたいで、元々のガタイがいいから見栄えがするなあ。

松岡霧丸。下弦の主役は霧丸なんじゃないかなあという認識を新たに(詳細は後ほど)。存在感がとても大きくなってた。相変わらずぴょんぴょんしててかわいい。

鈴木天魔王。表情は抑え気味になっていたんだけど、その分声の演技が幅を広げていたような気がする。宮野捨之介の声の演技に呼応している感じがして、とても耳が幸せだった。相変わらず恐ろしいし威厳もあるんだけど、時折コミカルな色合いの声音で話すシーンがあったりして、「なんだかお茶目さんだ」と可愛さを感じるようにも。

 だからこそなのか、孤独の深さを初見よりもずっと感じた気がする。

あと、髑髏党の配下に対しては、案外労働基準法とポリコレ遵守(そんなもんあるのかって感じだけど)のホワイト城主なのではという印象。そうじゃないとあんなに女性の配下から敬愛されないよなあ。下手打つと殺されちゃうけど。でも8年間で関東荒野にあの城を作って二千人(と当初書いてたけど二万人でしょ! 違うよ!)を食わせられる城主なんだから、本来ならばとても優秀だろうになあ。

以下妄想。本人は信長(本人ではなくてある種宗教的な象徴としての「織田信長」)の存在に心酔していて、だからこそ冒頭のあのシーンから天魔王であり続けたのかもしれないけれど、それは宗教に傾倒していないと自我を保っていられない弱さなのかも。捨之介はそのことに何となく気がついて、だからこそ倒したいのではなく止めたいと思ったのかなあと。

 一幕の圧倒的な君主感から一転、二幕でイギリスからの援護はないとわかり、家康の力は強大。蘭丸に対しては、蘭丸の弱みに目をつけて口説き落としたのではなく、天魔王が一蓮托生だった仲間を傍につけておきたくて、過去に縋ってしまった弱さの発露なのでは、と改めて思った。

 そんな中で天魔王としての仮面が綻びていって、実は蘭丸に庇われた(今更気がついたけど一幕と二幕で蘭兵衛と蘭丸に対して同じ台詞を言っているのに、シチュエーションが全く違うのが効いてるんだなあとか)時点で、ただの駒だと思っていた(思おうとしていた?)人間から庇護されてしまった、ということで既に矜持がひび割れていたのかもしれない、と感じたり。

 あともうひとつ。最後の最後に、「天魔王とは何だったのか」と思い返すときに、空っぽの金の兜しか残らない、そういうプランで天魔王の役を作り込んでいるのかなと思ったりもした。鈴木天魔王が見せる本来の姿は、ラストバトルで剥き出しにされて、自ら捨之介を刃を突き立てるあの一瞬にだけ見せるもので、それまでは完全に、幼い頃から仕え、近くで姿や声、仕草をずっと見てきた信長の完全コピーを演じている天魔王、として意識的に鈴木拡樹が演じているのかな、とか。ある意味一人二役版の天魔王的というか(風観てるからこういう風に思うのかもしれない)。

 長い。すみませんずっと天魔王をぐるぐるするんだよ……。

 「捨之介、蘭丸とは一蓮托生」っていう台詞(意訳)がものすごく耳に残ってる。

廣瀬蘭兵衛。蘭丸になってからの男前度が増していた! どう考えても蘭丸の方が本性だし、蘭兵衛の時は生きながら死んでいたようなものだったんだろうなあ。蘭丸に戻ってから楽しそうに人殺しに興じる姿は、信長の傍にいた頃の姿そのものだったんだろうか、と思いつつ。そして殺陣がめちゃくちゃ上手く激しくなっていて、天魔王と蘭丸の対決の時は息を呑んでしまった。ちゃんとも、努力の人だなあ……。

木村兵庫。気さくな兄ちゃんでありながら要所要所を締めていて、ああ、すごくいいなあと改めて思った。無界屋襲撃のシーンでの悲しみがとても切なくて、だからこそ、更なる悲しみに襲われた太夫を支えられるだけの男に成長しているんだな、っていうのがグッときた。荒武者隊の日替わりも毎回見たいぞくそう……。

羽野太夫。素敵度に磨きがかかっていた……蘭兵衛を撃ったあと、泣きながらずっと手を拭ってあげている姿があまりにも痛々しくて、だからこそカーテンコールで手を繋いで出て来る蘭兵衛と太夫の姿を観て「蘭兵衛この野郎」っていう気分に……とっても愛しい半身だったんだろうなあ……。

千葉狸穴様。最初に観たとき、実は前の方の頭で見えないシーンが多くて残念だったんだけど、今回はちゃんと観られてよかった。かっこいい!

渡京や生駒や剣布や爪月にもちょいちょい面白い台詞が増えてて楽しくて、一幕はひたすら笑いっぱなしだった。いん平さんの美味しいところを持っていくシーンも大好きだなあ。

そして何より贋鉄斎コーナーですよ。1月13日マチネ生駒日替わり「ポテチを箸で食べるタイプだから」に始まって、贋鉄斎と捨之介の掛け合いが面白い。捨之介がボソッとツッコミを入れながら生駒に叩き込まれた頭の剣を抜くんだけど、「頭皮が取れちゃうから」とボケつつ二人でカツラを押さえながら協力するっていうだけのシーンなのに何故あんなに笑えるのか。うまく説明出来ないのでライビュで観て。このノリを見るだけでも通いたいくらい好き。

 

ライビュ先行は終わってるけど一般発売が多分あると思うので。

l-tike.com

 

あと、個別感想とは別に、下弦の月から私が受け取った物語として。

妄想200%だからごめんな!

 

一応の主役は宮野捨之介ではあるんだけど、基本的には霧丸視点で全ての話が進行しているんだなあと。

まだ年若い、しかも復讐心に溢れた霧丸だから、捨之介は最初のうち謎の兄ちゃんだし、天魔王は一族を皆殺しにしたあまりにも冷酷なヒールだし、蘭兵衛に至ってはふわふわしてて何を考えているかよくわからない。でも、そんな中で、捨之介が包容力のある兄ちゃんであることがわかって、さらに気のいい兵庫や荒武者隊、そして無界里の包容力溢れる太夫や遊女たちの優しさに触れて少しずつ視野が広がってゆく。

 しかし蘭兵衛は何故か天魔王の元へ向かい、霧丸の目の前でよりによって霧丸の敵でもある天魔王に堕ちていく。

 過去のことなぞ何も知らない少年にとって、大人達の因業因縁は全く意味のわからないものだと思うし、でも、何もかも捨てたと言っていたはずの捨之介がそれに囚われていると知ってしまったときに、霧丸は復讐心よりも、自分を心配してくれた捨之介を何とか助けなきゃ、自分が大人にならなきゃ、っていう方向にシフトしたんだろうなと。ざっくり書いてるから味気ないけど、とにかく捨之介と霧丸の関係性がとても尊い

 「止めるんだ」と言っていた蘭丸と天魔王を同時に喪い、打ちひしがれる捨之介を見て、一族を殺された記憶が生々しい霧丸だからこそ、「今は自分が捨之介を支えるんだ!」っていう気持ちになったのかもしれない。

 宮野捨之介と松岡霧丸だからこそ出来るこのバディ感というかニコイチ感溢れる関係性を、12月よりももっと前面に出してきている感があって、個人的にはその……大変好きです……。

 で、このバランスって、多分天魔王や蘭兵衛が目立ち過ぎると成立しないものだと思うんだよね。とても少年ジャンプ的。でも昔のジャンプじゃなくて今のジャンプ。今のジャンプ漫画ってこじらせた大人ちょいちょい見かける気が。いや昔からか。

 大人だったり先輩だったりするけど、過去に挫折してこじらせた人たちに新しい気付きを与えるのが、主人公だったり新しく入ってきた後輩だったりするよね、と。男性から女性に設定を変えてやってきた霧丸は、まさにそれなんじゃなかろうか。

 とにかく、下弦はその関係性を見せる方向を選んだんだなと。でも、座組が一つの方向を見てる感じがあって、好みはあると思うけど、見せ方にブレがないのがとても好き。

 でもガンダムには乗ってもジャンプ原作の主役としてはデスノートのダークヒーロー・月をやった宮野捨之介と、まさしくジャンプマンガの主役であるナルトを2.5次元で演じている松岡霧丸が組んで演じているっていうのも面白い。

 

 あと、個人的に凄く適当なことを言うと。

 実は鈴木拡樹捨之介、宮野真守天魔王っていうのも観てみたい気はする。というのも

yuuki-sara.hatenablog.com

 

こちらでちょっと触れた少年社中作品での鈴木拡樹は、割と捨之介っぽい人物を演じている気がする&私が声優宮野真守の演技で一番好きなのが「ガッチャマン・クラウズ」のベルク・カッツェだっていうところからなんですが(笑)

 物凄くトリッキーな悪役なんだけど、「演技が抜群に上手いな!!」と思ったのはガチャクラ見た時だったので。

 

つーか霧丸主役でアニメ化とかいかがでしょう。1クールだったら月髑髏よりもちょっと長いくらいの尺だよ!

 

 次はライビュで上弦と下弦、そして2月にすごい前方席で下弦を観ます。今猛烈に大楽のチケット取れば良かったって後悔してるので、それくらいなら当たって砕けた方がいいっすね……うう。でも、物語の芯がはっきりしている以上、あとは進化と深化を続けるだろうから、座組みんながどう変化するか楽しみだよ!!

 そしてようやく上弦を観られるわけですが、上弦はどんな物語を紡いでいるのか楽しみ。

 

 

少年社中×東映「ピカレスク◆セブン」を観に行ってきた

突発観劇ツアーその2。

 

www.shachu.com

 

髑髏城で上京することになったので、もう1本何か観たいなあと思っていた時に、丁度過去作品のDVDを観て「面白い……!」と思ったところだったので。

物凄く良いタイミングでチケットをお譲り頂けました。本当にありがとうございます!

1月14日マチネ。ネタバレありますのでお気をつけて。

 

 

 

こっちも信長出て来る七人もの。なんだか信長だらけの観劇ツアーでしたが。

 

 毛利亘宏主宰の脚本作品は、テレビではほぼ観ていなくて、「TIGER&BUNNYtheLIVE」と「ドラゴンクエストスペクタクルツアー」を会場で観ていたんだけど、どちらも胸が温かくなるエンディングで、そして悪役への視線が優しい、というのが物凄く印象に残っていて。

 そして、こちらは悪役だらけの群像劇。

 とにかく殺陣が凄い。濃厚でかっこいい。佃井皆美演じるジャック・ザ・リッパー双剣遣いとダンスとアクションが神がかっていて、ひたすら見惚れてた。

 メインキャラクターとしては善人感溢れる宮崎秋人のトクガワイエミツと、悪であることを隠さない鈴木勝吾のマクベスのぶつかり合いがありつつも、細貝圭の演じるノブナガの野望に立ち向かったりしつつ(複雑に絡み合っているので上手く説明出来ない……詳細はサイトで!)、ラストはイエミツとマクベスの熱い対決シーンが用意されているんだけど、ここから怒涛の殺陣の後、イエミツが振り絞る最後の一言がズドン、と胸に刺さって、すごく元気になって会場を出られた気がする。

 飛行機の時間があったから最後までカテコを観られなかったんだけど、心の中で拍手をしつつ、とても元気になってサンシャイン劇場を後にした。

 あと、少年社中作品って衣装の様式や色と芝居の内容がこんなに綿密に絡み合っているのか、ということに驚いたり。カラフルで独特な衣装は見ているだけで楽しいんだけど、それだけで終わらないことにびっくりした。

 個人的にはジャック・ザ・リッパーの心理をもうちょっと知りたかった感があるんだけど(ちょっと役回り的に気の毒さを感じたので……)、凄い人数の登場人物を、混乱させずにキャラ立てして、しかも2時間で話をまとめるって物凄い豪腕だと思うので、そのあたりにも「凄い……」と感じ入りつつ、目が足りないから視線があっちこっちに彷徨いつつ、だった。

 少年社中の何が好きになったかっていうと、確固たる「ハッピーエンドを見せるんだ!」っていう意志なんだけど、ピカレスク◆セブンはそれだけで終わらない部分もありつつ、でもイエミツの情熱に心動かされた。

 そしてマクベスの一節(だよね多分間違ってたらごめん)をキャスト全員で斉唱するのがかっこよくて、「ほぁあ」ってなってたからアレはいいものだ……。

 過去作品をもっと観ていたら、ピーターパンあたりは全然見方が違ったと思うので、これからもちょこちょこDVDを買おう。20周年第二弾もあったら行きたいなあ。

鈴木拡樹という名の舞台役者がいる

……ことをわかってなかった間抜けなブログ主の後悔、までがこのエントリのタイトルです。長い。

 

平成30年がやってきました。あけましておめでとうございます。

今年はちょいちょいブログの更新をすることを目標の一つにしたいです。気まぐれで三日坊主なブログ主ですが、エントリを見かけたらよろしくお願い致します。

内容は観劇だけじゃなくてドラマや映画の感想やら何やらでごった煮だと思いますが。

ツイッターもアカウント名yuuki_saraで持ってますので、そちらでは廃人のように呟いてます。

つーか前回のブログと文体が違うから何だこりゃって感じですが、その日の気分で文章が変わるので慣れてやって下さい……。

 

以下、敬称略&個人の感想です。

 

さて、昨年12月4日に髑髏城の七人season月(下弦の月)観劇以降、一体何をしていたかというと、観劇したり(舞台刀剣乱舞 ジョ伝 三つら星昔語り)、刀ステのBDを見たり、舞台のDVDを見たり、あと「風雲児たち」のトークショーに行ったりドラマ見て号泣したりしてたわけですが。

実は髑髏城の七人を観たあとに、「天魔王に鈴木拡樹の影が全く見えない」→「じゃあ、鈴木拡樹の素の芝居ってどんな感じなんだろう?」という興味を持って。

「折角だから、オリジナル脚本ストプレ出演の映像を見てみるか!」となったわけです。ここで既にかなりダメな沼に突っ込んでたことに気がつけば良かった。

 

で、先達の方々のオススメコメントやツイート、ブログを参照しつつ、昨日まで見たDVDの記録と感想を以下に記しておこうかなと。

yellow16.hatenablog.com

 

atm.hatenablog.jp

 

 

yuuki-sara.hatenablog.com

 

一応ざっと私が出演舞台のどれを観てきたか、というのを書いていくと、上記のエントリでも書いたように、一番最初に観たのは「舞台弱虫ペダル」のライブビューイングなんですが、主演のスピンオフ「野獣覚醒」は昨年末まで未見でした。

で、そこから随分間が開いて、「舞台刀剣乱舞 虚伝 燃ゆる本能寺」(再演)のチケットを、何のきっかけかは忘れたんですが、たまたま応募したら北九州公演が取れたので(実は当時倍率高いのも全く知らなかったのでビギナーズラック怖い)観に行ったんですが、観劇後に役者の演技に呑まれて呆然としたのは久々で。正直インパクトが強すぎて、後でフラフラしながら地元に戻ったような記憶しかなく。

続いて「舞台刀剣乱舞 義伝 暁の独眼竜」、「舞台煉獄に笑う」、「髑髏城の七人season月(下弦の月)」は劇場で観ました。スーパーダンガンロンパもチケットは取れていたんですが、他の用事が入ったせいで行かなかったことを今死ぬほど後悔している……。

ちなみに戦国鍋もディケイドも最遊記も全く通過していないので、私は一体何を見て生きてきたのか未だにわかりません。よく掠りもせずに今まで来たなあ……。

 

 ただ、当時はとりあえずチケットが取れた舞台を観に行くような感じで、オリジナル脚本のストプレにも出ているっていうのをよく知らず。髑髏城を観に行って思いっきり沼に蹴り込まれた自覚があったりなかったりしたので、「じゃあとりあえず行ってみよう!」と思ったのが以下の円盤。

 

disgoonie.jp

DVDは以下で販売中でした。略してSSS。とっっても好き。

DisGOONie Online Shop

「舞台煉獄に笑う」で激しい殺陣と舞台セットの特殊な造りが気になっていたので、同じく西田大輔演出のこちらをまず最初に選んだのだけど、とにかく殺陣が凄い。めちゃくちゃ殺陣の密度が高い。円盤で観ても圧巻だけど、それだけではなく。

 冷静で感情を表に出さない主人公・山県昌景が、ある瞬間、子供のように動揺して、ボロボロになって崩れ落ち、感情を爆発させるシーンがあるのが物凄く印象的で。一気に引き込まれて、あとはじっと画面に見入っていた……。

 

「これは他の作品も観ないと……!」と思っていた矢先。年末に友人とジョ伝観劇と忘年会を兼ねて会っていたときに一緒に観た円盤が少年社中のこちら。

 

www.shachu.com

DVDは現在少年社中の公演でしか購入出来ないそう。

で、こちらで演じているのは「ジュリエット」。「ロミオ」じゃなくて「ジュリエット」。

頭に疑問符を浮かべながら観たら、ジュリエットは男の娘だったという衝撃の展開が待っていたんだけど、とにかくジュリエットがかわいい。女装してようが男装してようがかわいい。そしてまだ演技は若いけれど、シェイクスピア劇の古風な台詞回しがきちんとハマっていて、悲劇に向かって突き進んだ後の、ラストシーンが力強く。

 あと、所作がたおやかなのに動揺。

 

で、慌てて次に観たのがこちら。

少年社中 15周年記念第三弾 第28回公演【贋作・好色一代男】特設サイト

円盤はこちらから購入出来ます。

www.kinokuniya.co.jp

井原西鶴好色一代男を下敷きにした艶笑譚で、役どころは主人公の色男・世之介の向こうを張るもう一人の色男・艶之丞。際どい台詞や単語もバンバン吐くし、イケメンであることに絶対の自信を持つ風な超絶モテ男なだけあって、チャラいし、視線だけで女を射殺す勢いなのに、色々あって世之介と契った挙げ句、ライバル心とは裏腹の恋情を抱くというなかなかにかっ飛んだ役どころを、コミカルに、しかし見せ所ではシリアスに演じていて、とてもメリハリが効いている。

 

こうなれば、ということで、次に観たのは少年社中出演3作目にして主演。

 

www.shachu.com

円盤はこちら。

www.kinokuniya.co.jp

歌舞伎の「三人吉三」を下敷きにしたSFもの。

……っていうだけでもかなり特殊設定なんだけど、鈴木拡樹演じるのは主演のお嬢吉三。普通に女装。しかも観ててぽかんとするほど美人で、仕草も格好もめちゃくちゃ女子力が高い。でも口調は男性的で声は低いし終始歌舞伎調の台詞回しという、物凄く作り込んだ役柄。途中で男装もするんだけど、そちらは本人が望みもしないのにモテまくってしまうというなかなかに面倒くさい役回り。

 歌舞伎では悲劇に終わる話の結末を変えるために、お嬢吉三が何度も試行錯誤を繰り返す、幸せな結末を求めて心情を吐露するシーンは圧巻で、元々の物語の良さも相まって号泣してしまった……どういう最後を迎えるかは是非観て欲しいなぁ。

「こいつぁ春から縁起が良いわぇ」という有名も有名な決め台詞を聞けるのも楽しい。

 

あと、これは絶対に押さえておけと言われていたシリーズ。

mottorekishi.com

mottorekishi.com

円盤はこちら。

マルガリータ

TV ASAHI MUSIC ONLINE STORE

(幻の城)

TV ASAHI MUSIC ONLINE STORE

 

なお、現在dTVで配信中なので、私はとりあえずそちらで観ました。

円盤は後日買う……今は髑髏でお財布がいっぱいいっぱいなんだよ……。

マルガリータ

pc.video.dmkt-sp.jp

(幻の城)

pc.video.dmkt-sp.jp

マルガリータ」はパブリックイメージの鈴木拡樹っぽい役だったので「ほほう」と思いつつ観ていたんだけども。

「幻の城」が。

八丈島に流された宇喜多秀家の狂気と正気の狭間を描く物語。

 ……いや本当に誰だかわからない。これ本当に鈴木拡樹なのか。若い頃の木村拓哉のような顔だったのにも驚いたんだけど、演技にとにかくびっくり。

 正気なのか狂っているのかといえば本当に狂っていて、口調はおぼつかないし足元はふらついているし目つきもおかしいのに、ときおりゾッとするような殺気を見せる。禍々しい邪神を観ているような気分になって、ただひたすら圧倒された。

 嗄れた声は老人のようで、しかしギラリと光る瞳に妄執が宿っているのが垣間見えて。終始「ああ、狂気に沈んだ人間なんだ……」と突きつけられていた。

 ラストシーンはおそらく死ぬ間際だと思うんだけど、完全に世界から魂の離れてしまった老爺だった。なんだこれは……凄いものを観た……。

 あと、途中に槍殺陣があって、長物を扱うのを観るのは初めてだったのでとても新鮮。

 

 

 他にも配信で、舞台ノラガミの第一弾・第二弾と、円盤で舞台弱虫ペダルの野獣覚醒を観たりしつつ。

 

 個人的な感触として、「2.5次元舞台よりオリジナル脚本のストプレの方が圧倒的に演技を盛りまくってるじゃないか(当たり前っちゃ当たり前だけど)……というかむしろ2.5だとめちゃくちゃ抑えてるのか」という結論に至りました。

 

 以下、さらに個人的な印象。鈴木拡樹が持っている演技のバリエーション自体がかなり多くて、2.5だとあるキャラをキャラたらしめるために、そのキャラクターが持っている要素以外の部分を出さないように抑えている&ストップモーション的にキャラクターのポージングを真似て、観客側の想像力を引き出している部分があるのかなと。しかも本人は自覚的にそれをやってそう。声をまねるだけではなく。

 「野獣覚醒」を観ていたときに、「あ、この荒北のポーズ、スペアバイク(荒北の番外編が掲載されているコミックス)の一コマにあった」というのを強烈に思い出したシーンがあって。おそらく意図的にそういう部分を盛り込んでいるのだろうなと(というのを刀ステのメイキングで話していた気がする)。

 

 対照的に、オリジナル脚本のストプレでは口調にしても声の調子にしても盛りまくっていて、とても自由にのびのびとやっている感じが。そうだよこういうのが観たかったんだよ……つーか本当に器用だな! 結局素の演技がどれかはわかるようでわかんなかったけど楽しそうに演じてるからいいや! 鈴木拡樹が演じてたらそれは鈴木拡樹の演技だ!

 

 例えば「三人どころじゃない吉三」は主演:鈴木拡樹じゃないと絶対に成立しない話だと思うわけで。

 お嬢吉三はジェンダー・ロールを飛び越えて男女の狭間を自在に動き回り、さらに男女問わず作品内での「美しさ」「格好良さ」の頂点にある。けれども、それ故に本人が悲劇を巡る仕掛けに気がついてしまってから、その「美しさ」「格好良さ」が悲劇を乗り越えるために物凄く邪魔になる、という展開は、鈴木拡樹の身体性と、大仰なくらいに芝居がかった口調、そして存在感と熱量があってこそじゃないかなと。うまく言語化しづらいんだけども。

(本旨とは少し外れるけど、少年社中の作品内での鈴木拡樹の存在は「作中におけるジェンダー・ロールを引っかき回す役どころ」に見えて、鈴木拡樹出演作品は、そこにカタルシスを得る構造で物語を組み立てているように感じる。それは鈴木拡樹でしかなし得ない部分だと思うし、本人も毛利亘宏主宰も意識しているのかなと)

 

 「髑髏城」を観てからずっと思っていたんだけど、本人の素の演技は堺雅人系統というか、どんなキャラクターでも作り込めるし、いい意味でマンガ的なわかりやすさもありつつ、主役級のインパクトを持っているのかなと。何より、楽しそうに演じてるように見えて、だから観ているこちらも楽しくなる。

よく客演する少年社中も早稲田大学演劇研究会の系譜だから、という連想もあるんだけども。ファンタジックな作風に負けない濃さと強さのある演技は観ていてエンターテインメント性に溢れているなぁと思う。

 蛮幽鬼のサジ役をやって欲しいと思っているのも、堺雅人との近似性を感じるから、というのがあり。再演やってくれたら全力出すよマジで……。

 

 一方で、板の上や観客席の状況や空気を物凄く読んでいるクレバーさがあって、座長のときであろうが二番手の時であろうが、自分が積極的にバランサーとなって会場の空気を調整している感じも。

 それはどちらかというと自分の演技を引いたものに見せる方向に働くかもしれないけれど、座組の一体感という意味ではものすごくプラスになるだろうし。

 

 そんなこんなで、もっとオリジナル脚本のストプレを観たいなあと欲が湧いてくるわけで。

 私自身は元々三谷幸喜のフィールドの人間なので、三谷幸喜脚本の時代物とかミステリの芝居に出て欲しさもあるし、古沢良太脚本とかも楽しそう。

 あと、映像でも大河とかNHKの時代劇に出てくれたら私は大歓喜する。ホント出て。

 正直、これだけ目を引くものがあれば、世間が放っておかないと思うし、これから大きな役が増えていくだろうな、っていうのは想像がつくんだけども。なんつったって世情に疎い私が知るくらいだし。

 

 ただ、少年社中だったり、西田大輔作品だったり、ペダルからのご縁の西田シャトナーさんだったり、刀ステの末満さんだったり、これからどんどん大きくなっていくであろう人々と積極的に組んで、新しい演劇の地平を切り拓いて欲しさがとてもある。権威にとらわれず、あちこちで演じて、色々な姿を見せてもらえたら嬉しいな、というのが今の正直な私の感想です。

 

 ……よりによってこんな深い沼にドボンするとは思わなかったので、困惑しつつも楽しい年末年始を過ごしましたよ……まだ観てない作品はいっぱいあるんだけど、週末髑髏城の2回目を観に行くので、その前にアップしとく。ああ、楽しみだなあ。演劇っていいなあ。

 

  

髑髏城の七人Season月【下弦の月】を観に行ってきた

更新するの何年ぶりかな…でも一応はてブロ生きてますっていうことで。というかツイートが異常に多かったのでこちらに移した。

以下、ツイートまとめ&追加+ネタバレ感想です。ネタバレ前にスペース入れますが、ツイートまとめの時点でネタに軽く触れているので、ネタバレアウトな方は全てスルーして下さい。
ネタバレ感想は戯曲読んだ上での記述です。

その前に。

以下は個人の感想です、というのと、前提条件として、正直なところ鈴木拡樹が新感線の舞台に立つということで劇場行きを決めました(ゲキシネはちょこちょこ観てる。これまで劇場に行かなかった理由はツイートまとめ参照)。
なので冷静さは欠片もないです。あらかじめ宣言しておきます。

ここからツイートまとめ。


ということで髑髏城の七人Season月〈下弦の月〉12/4マチネを観てきました。
実は劇団☆新感線の舞台を生で観るのは初めて(ゲキシネはちょいちょい観てる)なので極々初心者視点の感想ですが。

まず羽野晶紀サイコーかな…めちゃくちゃ可愛くてキュートで切なくて強かった…。素敵…。愛あふれる太夫でした。
彼女のどっしり構えた感じと井上喜久子17歳感サイコー。極楽ママにオギャりたい。

主演の宮野真守は、がなろうが囁こうが息を荒らげようが徹頭徹尾台詞の聞こえと滑舌が良くて、4時間全部の台詞が綺麗に聞き取れました。
すげートップ声優本当に凄え。
本当にいい声だった。
フィジカルな部分はこれから進化してくと思うので。
でも言葉一つで全ての感情が伝わる技術よ。
そりゃあ新しい銀英伝でラインハルト演るよねっていうテクニカルさを存分に堪能しました。
酸いも甘いも噛み分けた熱い捨之介はカッコ良かった。

そして対になる松岡広大くんの霧丸(これまでは沙霧で女の子だったけど)がまた動けるしぴょんぴょんしてるし元気だし熱いしで兄弟みたいにかわいい。さすがNARUTOの主役。捨といいバディ感。

で、兵庫達、渡京と無界屋の遊女の面々が賑やかしを担っててとっても楽しかった。突然のララランド的登場とかもだし。
それだけに二幕の展開に「うわああああ」ってなったのですが。
兵庫のあの人も凄く良かったなあ。
狸穴様も貫禄があって素敵で、それだけにおきりとのエピソードが悲しかった…。
羽野晶紀の絶叫に涙。

次に、廣瀬智紀の蘭兵衛がですね、一幕と二幕のギャップが凄くて、一幕の儚さからの二幕のぶっ飛ばし加減が熱かった。
二幕中盤までの熱量とグルーヴ感は蘭兵衛と霧丸がいい形で作ってた気がする。
一幕で不安そうな太夫をハグしてた色男が、おおおおお?! みたいな。
二幕で「楽しいなあ!!」って笑みを浮かべる蘭兵衛は凄惨な美しさがあって、凄まじいシーンなんだけど思わず見入ってしまった。殺陣は時々剣が軽く見えちゃうことがあるんだけど、場数踏みまくってるだけあって自分の見せ方見せどころをよくわかってていいなあと。張るときの声がなかなかに艶っぽかった。

で、鈴木拡樹天魔王なんですが。
いやもうしょっぱなから圧倒的ラスボス感と、裏に隠し持った狡い小物感とのミクスチャーが絶妙で、でもその奥にある存在への執着が見えて来たときのグッと来る感じが素晴らしくて。
出てきた瞬間に場の空気を支配するのを実感した。
凄い。マジ凄い。
天魔王、宮野捨と別ベクトルで声がいい。
まるで歌うように高低と強い甘い声音を使い分けていて、これは確かに人心を手玉に取るよなと納得しきり。
最初に蘭兵衛と対峙するシーンで昔の名前を呼ぶんだけど、その一瞬だけフッと柔らかい響きになるのを見て「メフィストフェレスだ」と。
無敵の鎧で全身を覆っているんだけど、そこから剥き出しの自分を曝け出された瞬間の惨めさは物凄くて、体格まで考慮してのキャスティングなんだなあとしみじみした…あれは凄い…。
圧倒的に強くて賢いんだけど狡くて小物で昔を引きずった天魔王。
でも、ラスト、あれ生きてるよねって思った…。
それくらい狡い。
こちらも仮面をつけて発声したり凄い低音で声を張ったりするシーンがあるのに、物凄く台詞が聞き取りやすいのと、後方寄り中央の席で観たんだけど、それでもわかる表情の付け方が圧巻だった。
メフィストフェレスでもあるんだけど、メイクも相まってヒース・レジャージョーカーを思い出したなあ。蘭兵衛を笑顔で引き摺り下ろす雰囲気が。

殺陣については役柄的に普段より随分抑え気味だったけど、どっしり重い感じのもいいなあ。
本当はタイチサオトメとガチでやって欲しかったんだけどチーム違いで同じ役ってよく考えなくてもすげーな?! と思うので贅沢は言わない…。
そしてマントばさーがカッコ良かった…やべえ…(語彙力)。

とにかくいいものを観た…凄いエンタメだった…もう一回観たいからボーナス出たら使い道考えて行けそうなら後期も行きたい…なんなら上弦も行きたい…彼らがどう完成させるのか見届けたい…。

前回の風髑髏をライビュで観てからの今回満を持して会場だったんですが、捨天一人二役のときにはなかった天魔王の掘り下げがとてもいい感じで、他の髑髏城も観たいなあ。
そしてステアラの機構自体の凄さは一度経験して欲しい気がする。座席が詰まりすぎてて前の人の頭で舞台に死角が出来るのが難点ではあるんだけど。

ずっとストプレメインで観てた私が2.5次元舞台を観るきっかけになったのがペダステの鈴木拡樹・廣瀬智紀が二人揃ってる多分最後の回だったので、「髑髏城の七人」の二番手三番手としてスタオベに応える姿は色々感慨深かった…貴方達がステアラまで私を連れて来てくれたんだよ…。

余談だけど、舞台終わってお茶してた時、隣に座っていたのが中国から髑髏城下弦を観に来た二人組で。
刀ステの三日月宗近で鈴木拡樹氏のファンになって、ずっと円盤でしか演技を観られなかったんだけど、今回髑髏城を観るために初めて日本に来たというお話を伺いました。
生の演技を観られて本当に嬉しそうでした。
彼女達の夢が叶って良かった。
そして日本語とても上手でした。凄いなあ。


総括としては、いやマジヒロキスズキすげーわ…今思い出すの天魔王のシーンばっかりだ…なんだこれなんだこれ。

刀ステ虚伝の再演を観に行ったときに、鈴木拡樹の三日月のシーンの存在感が圧倒的過ぎて、「今のこの人に2.5の舞台はもしかして窮屈なんじゃないだろうか」と思ってからしばらく経っての髑髏城、しかも天魔王役の発表だったから本当に楽しみにしてたんだけど、軽々とハードル越えて行ったよ…。
でもつくづく板の上に生きる人だなあと思った。天魔王の存在感素晴らしかった。ライビュがあると思うので地方の方も是非観て欲しいなあ。

実を言うと新感線作品に関しては愛憎半ばするところがあって、正直本当にキツくてゲキシネ途中で席を立とうか本当に悩んだ作品もあったりするので、自分に合わなかったときのダメージを考えると生の観劇にずっと躊躇してたんですよ。
醜女をいじって物語が進むパターンが実はかなり苦手で…(髑髏城もそれがあるので風観た時にちょっとビクビクしてた)。
でもそれを補って自分の中で100000点くらい加点するくらい好きな蛮幽鬼っつー作品があるもんだから、これまで劇場に行かずゲキシネ中心だったんだわ…でもやっぱり生で観るといいなあ…。
あと、もし蛮幽鬼の再演があるなら、鈴木拡樹にサジをやって欲しいんだよ…いやなんとなく堺雅人みあるよなあと思うので。笑顔の暗殺者サジが好き過ぎるんだわ。

髑髏城に関しては比較対象が風しかないから(昔ゲキシネで観た気もするけど記憶が曖昧)なんともだけど、どっちも違ってどっちもいいね!
生瀬さんの風狸穴様大好きです!!


そして鈴木氏、こないだのマイク外れるアクシデントの時の対応ツイを見て、2.5Dステの地方公演ってキャパ1000人↑クラスのハコでやることが割とあるから、マイク持って殺陣やったっていうのは音響の限界を把握しているが故なんだろうなあと。こういうのも場数だしね。


以下、ネタバレ感想とか追記とか。










戯曲とパンフレットを読んだんですが、マジで紅天女の試演だよなあ月髑髏。
役者の皆さんは物凄いプレッシャーだと思いますが、良いお芝居だと思うので最後までやり遂げて欲しい。
あと、戯曲と本番で一番変化しているのは捨天対決のオチだと思うんですが、あのやるせなさは凄まじい…でも下弦の天は生き延びて、戯曲エピローグのエピソードに関わっていそうな強かさが最後まで感じられたなあと。
ただ、求めてやまない信長に一番執着していて、それ故に蘭丸を信長の姿で陥れる天魔王は狡猾なんだけれどどこか悲しかった。
もしかしたらそれを捨之介は、腹を割って昔と同じ姿で話し合うことで天魔王を満たしたかったのかもしれないけれど、その考えが逆に天魔王を追い詰めた訳で。
その残酷さも含めて、ラストに向けての展開がとても好きです。
月とは天魔王のことを指すんだろうなあ。
太陽の光を反射することでしか輝けないもの。
それほどに太陽=信長への愛と執着は強かったんだろうと。
そして実のところ風を観た段階では蘭兵衛→蘭丸の変節の理由がいまいちしっくり来なくて、夢見酒でトリップしてるのも理由としては大きいのかなと思っていたんだけど。
月はその辺の脚本周りが丁寧だったので腑に落ちました。なるほど。
でも、蘭丸が信長と同じような振る舞いに及ぶ瞬間、天魔王は信長が蘭丸を愛した理由を理解して敗北感に打ちのめされたんでは、というのを感じた二幕の無界屋襲撃。
「楽しいなあ!」と笑う蘭丸は信長そのものだったんじゃないかと思うんだよなあ。

しかし一晩経って思い返すのは天魔王のことばかりで、自分でもびっくり。

ツイートまとめには強烈な存在感のことを書きましたが、逆に、大人数の殺陣で他のキャラクターにスポットが当たるときは、びっくりするくらい存在感が薄くなる=舞台上での自分の存在感をコントロールしてるんだろうなあと。
下弦はそれぞれの存在感が調和しているなーと思ったし捨天蘭のバランスが非常に良いなあと思ったんですが、二番手として主役を立て、出過ぎず、だからといって引き過ぎず、ガツンと出るときは出る、そういうバランスを鈴木拡樹氏が作ってた気がする。
どうなのよ座長経験豊富な32歳2.5次元舞台のキング…。

自分が座長ならばおそらくもっと前に出てくるのかもしれないけど、天魔王はあくまでも捨と対の存在として下弦では進行しそうな気もする。
はっちゃけた姿も見てみたい気はするけど、それはおそらく上弦でやることなんだろうなあと。
でも、ラストの方でどんな進化をしているか見守りたいなあ。素晴らしかった。
役者鈴木拡樹の今後が本当に楽しみです。あの技量はもっと誇っていいと思うよ!!

本当にいいものを観ました。出来ればもう一度観たいし上弦もライビュも観たいなあ。
幸せな4時間でした。ありがとう。

(一部誤字修正&蛮幽鬼の辺りを追記しました。蒼の乱も好きです)

幻のシックスマンと開闢の帝王

しばらくまともにはてダの更新をしていなかったのですが、せっかくなのでこの際はてブロに引っ越してみるのもアリかな、と思って開設してみました。

はてダはツイートログ置き場としてそのままにしておくつもりですが、こちらは長文を書きたくなった時に投下する場所にしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

…ということで。

あまりツイッターで呟いていなかったのですが、実はこの2年近く、黒バスに割とどっぷりハマっておりまして。

タイバニと並行して2ジャンルあっちこっちするという忙しい日々を送っていました。

 

その黒子のバスケが、ついに本誌でウィンターカップ決勝の結末の日を迎えました…が。

これまでずっと考えないようにしていたスラムダンクとの関係について考えざるを得なくなった気がするので、忘備録として個人的感想を以下に。

 

ジャンプ本誌及び試合結果に関するネタバレがありますので、ご了承の上お進み下さい。

 

また、以下の文章の前提として述べておきますと、

井上雄彦作品はカメレオンジェイルの時から本誌で読む→スラムダンクも1話~最終回までジャンプで完走、コミックも揃える

●黒バスについては読み始めたのは20巻が出た辺り、ハマってからは本誌を追っかけるようになり、今回リアタイで読了

●どちらもハマって二次創作にも手を突っ込む

ということで、どちらが良いか、という事について語る気は全くありません。どっちも好きなので。あくまでも雑感として受け取っていただけると。

 

続きを読む