ゆうきさらのほんよみにっき@はてブロ

はてなダイアリーから引っ越しました。ゆうきさらが読んだり見たりしたものを気ままにつづります。

髑髏城の七人Season月【下弦の月】を観に行ってきた

更新するの何年ぶりかな…でも一応はてブロ生きてますっていうことで。というかツイートが異常に多かったのでこちらに移した。

以下、ツイートまとめ&追加+ネタバレ感想です。ネタバレ前にスペース入れますが、ツイートまとめの時点でネタに軽く触れているので、ネタバレアウトな方は全てスルーして下さい。
ネタバレ感想は戯曲読んだ上での記述です。

その前に。

以下は個人の感想です、というのと、前提条件として、正直なところ鈴木拡樹が新感線の舞台に立つということで劇場行きを決めました(ゲキシネはちょこちょこ観てる。これまで劇場に行かなかった理由はツイートまとめ参照)。
なので冷静さは欠片もないです。あらかじめ宣言しておきます。

ここからツイートまとめ。


ということで髑髏城の七人Season月〈下弦の月〉12/4マチネを観てきました。
実は劇団☆新感線の舞台を生で観るのは初めて(ゲキシネはちょいちょい観てる)なので極々初心者視点の感想ですが。

まず羽野晶紀サイコーかな…めちゃくちゃ可愛くてキュートで切なくて強かった…。素敵…。愛あふれる太夫でした。
彼女のどっしり構えた感じと井上喜久子17歳感サイコー。極楽ママにオギャりたい。

主演の宮野真守は、がなろうが囁こうが息を荒らげようが徹頭徹尾台詞の聞こえと滑舌が良くて、4時間全部の台詞が綺麗に聞き取れました。
すげートップ声優本当に凄え。
本当にいい声だった。
フィジカルな部分はこれから進化してくと思うので。
でも言葉一つで全ての感情が伝わる技術よ。
そりゃあ新しい銀英伝でラインハルト演るよねっていうテクニカルさを存分に堪能しました。
酸いも甘いも噛み分けた熱い捨之介はカッコ良かった。

そして対になる松岡広大くんの霧丸(これまでは沙霧で女の子だったけど)がまた動けるしぴょんぴょんしてるし元気だし熱いしで兄弟みたいにかわいい。さすがNARUTOの主役。捨といいバディ感。

で、兵庫達、渡京と無界屋の遊女の面々が賑やかしを担っててとっても楽しかった。突然のララランド的登場とかもだし。
それだけに二幕の展開に「うわああああ」ってなったのですが。
兵庫のあの人も凄く良かったなあ。
狸穴様も貫禄があって素敵で、それだけにおきりとのエピソードが悲しかった…。
羽野晶紀の絶叫に涙。

次に、廣瀬智紀の蘭兵衛がですね、一幕と二幕のギャップが凄くて、一幕の儚さからの二幕のぶっ飛ばし加減が熱かった。
二幕中盤までの熱量とグルーヴ感は蘭兵衛と霧丸がいい形で作ってた気がする。
一幕で不安そうな太夫をハグしてた色男が、おおおおお?! みたいな。
二幕で「楽しいなあ!!」って笑みを浮かべる蘭兵衛は凄惨な美しさがあって、凄まじいシーンなんだけど思わず見入ってしまった。殺陣は時々剣が軽く見えちゃうことがあるんだけど、場数踏みまくってるだけあって自分の見せ方見せどころをよくわかってていいなあと。張るときの声がなかなかに艶っぽかった。

で、鈴木拡樹天魔王なんですが。
いやもうしょっぱなから圧倒的ラスボス感と、裏に隠し持った狡い小物感とのミクスチャーが絶妙で、でもその奥にある存在への執着が見えて来たときのグッと来る感じが素晴らしくて。
出てきた瞬間に場の空気を支配するのを実感した。
凄い。マジ凄い。
天魔王、宮野捨と別ベクトルで声がいい。
まるで歌うように高低と強い甘い声音を使い分けていて、これは確かに人心を手玉に取るよなと納得しきり。
最初に蘭兵衛と対峙するシーンで昔の名前を呼ぶんだけど、その一瞬だけフッと柔らかい響きになるのを見て「メフィストフェレスだ」と。
無敵の鎧で全身を覆っているんだけど、そこから剥き出しの自分を曝け出された瞬間の惨めさは物凄くて、体格まで考慮してのキャスティングなんだなあとしみじみした…あれは凄い…。
圧倒的に強くて賢いんだけど狡くて小物で昔を引きずった天魔王。
でも、ラスト、あれ生きてるよねって思った…。
それくらい狡い。
こちらも仮面をつけて発声したり凄い低音で声を張ったりするシーンがあるのに、物凄く台詞が聞き取りやすいのと、後方寄り中央の席で観たんだけど、それでもわかる表情の付け方が圧巻だった。
メフィストフェレスでもあるんだけど、メイクも相まってヒース・レジャージョーカーを思い出したなあ。蘭兵衛を笑顔で引き摺り下ろす雰囲気が。

殺陣については役柄的に普段より随分抑え気味だったけど、どっしり重い感じのもいいなあ。
本当はタイチサオトメとガチでやって欲しかったんだけどチーム違いで同じ役ってよく考えなくてもすげーな?! と思うので贅沢は言わない…。
そしてマントばさーがカッコ良かった…やべえ…(語彙力)。

とにかくいいものを観た…凄いエンタメだった…もう一回観たいからボーナス出たら使い道考えて行けそうなら後期も行きたい…なんなら上弦も行きたい…彼らがどう完成させるのか見届けたい…。

前回の風髑髏をライビュで観てからの今回満を持して会場だったんですが、捨天一人二役のときにはなかった天魔王の掘り下げがとてもいい感じで、他の髑髏城も観たいなあ。
そしてステアラの機構自体の凄さは一度経験して欲しい気がする。座席が詰まりすぎてて前の人の頭で舞台に死角が出来るのが難点ではあるんだけど。

ずっとストプレメインで観てた私が2.5次元舞台を観るきっかけになったのがペダステの鈴木拡樹・廣瀬智紀が二人揃ってる多分最後の回だったので、「髑髏城の七人」の二番手三番手としてスタオベに応える姿は色々感慨深かった…貴方達がステアラまで私を連れて来てくれたんだよ…。

余談だけど、舞台終わってお茶してた時、隣に座っていたのが中国から髑髏城下弦を観に来た二人組で。
刀ステの三日月宗近で鈴木拡樹氏のファンになって、ずっと円盤でしか演技を観られなかったんだけど、今回髑髏城を観るために初めて日本に来たというお話を伺いました。
生の演技を観られて本当に嬉しそうでした。
彼女達の夢が叶って良かった。
そして日本語とても上手でした。凄いなあ。


総括としては、いやマジヒロキスズキすげーわ…今思い出すの天魔王のシーンばっかりだ…なんだこれなんだこれ。

刀ステ虚伝の再演を観に行ったときに、鈴木拡樹の三日月のシーンの存在感が圧倒的過ぎて、「今のこの人に2.5の舞台はもしかして窮屈なんじゃないだろうか」と思ってからしばらく経っての髑髏城、しかも天魔王役の発表だったから本当に楽しみにしてたんだけど、軽々とハードル越えて行ったよ…。
でもつくづく板の上に生きる人だなあと思った。天魔王の存在感素晴らしかった。ライビュがあると思うので地方の方も是非観て欲しいなあ。

実を言うと新感線作品に関しては愛憎半ばするところがあって、正直本当にキツくてゲキシネ途中で席を立とうか本当に悩んだ作品もあったりするので、自分に合わなかったときのダメージを考えると生の観劇にずっと躊躇してたんですよ。
醜女をいじって物語が進むパターンが実はかなり苦手で…(髑髏城もそれがあるので風観た時にちょっとビクビクしてた)。
でもそれを補って自分の中で100000点くらい加点するくらい好きな蛮幽鬼っつー作品があるもんだから、これまで劇場に行かずゲキシネ中心だったんだわ…でもやっぱり生で観るといいなあ…。
あと、もし蛮幽鬼の再演があるなら、鈴木拡樹にサジをやって欲しいんだよ…いやなんとなく堺雅人みあるよなあと思うので。笑顔の暗殺者サジが好き過ぎるんだわ。

髑髏城に関しては比較対象が風しかないから(昔ゲキシネで観た気もするけど記憶が曖昧)なんともだけど、どっちも違ってどっちもいいね!
生瀬さんの風狸穴様大好きです!!


そして鈴木氏、こないだのマイク外れるアクシデントの時の対応ツイを見て、2.5Dステの地方公演ってキャパ1000人↑クラスのハコでやることが割とあるから、マイク持って殺陣やったっていうのは音響の限界を把握しているが故なんだろうなあと。こういうのも場数だしね。


以下、ネタバレ感想とか追記とか。










戯曲とパンフレットを読んだんですが、マジで紅天女の試演だよなあ月髑髏。
役者の皆さんは物凄いプレッシャーだと思いますが、良いお芝居だと思うので最後までやり遂げて欲しい。
あと、戯曲と本番で一番変化しているのは捨天対決のオチだと思うんですが、あのやるせなさは凄まじい…でも下弦の天は生き延びて、戯曲エピローグのエピソードに関わっていそうな強かさが最後まで感じられたなあと。
ただ、求めてやまない信長に一番執着していて、それ故に蘭丸を信長の姿で陥れる天魔王は狡猾なんだけれどどこか悲しかった。
もしかしたらそれを捨之介は、腹を割って昔と同じ姿で話し合うことで天魔王を満たしたかったのかもしれないけれど、その考えが逆に天魔王を追い詰めた訳で。
その残酷さも含めて、ラストに向けての展開がとても好きです。
月とは天魔王のことを指すんだろうなあ。
太陽の光を反射することでしか輝けないもの。
それほどに太陽=信長への愛と執着は強かったんだろうと。
そして実のところ風を観た段階では蘭兵衛→蘭丸の変節の理由がいまいちしっくり来なくて、夢見酒でトリップしてるのも理由としては大きいのかなと思っていたんだけど。
月はその辺の脚本周りが丁寧だったので腑に落ちました。なるほど。
でも、蘭丸が信長と同じような振る舞いに及ぶ瞬間、天魔王は信長が蘭丸を愛した理由を理解して敗北感に打ちのめされたんでは、というのを感じた二幕の無界屋襲撃。
「楽しいなあ!」と笑う蘭丸は信長そのものだったんじゃないかと思うんだよなあ。

しかし一晩経って思い返すのは天魔王のことばかりで、自分でもびっくり。

ツイートまとめには強烈な存在感のことを書きましたが、逆に、大人数の殺陣で他のキャラクターにスポットが当たるときは、びっくりするくらい存在感が薄くなる=舞台上での自分の存在感をコントロールしてるんだろうなあと。
下弦はそれぞれの存在感が調和しているなーと思ったし捨天蘭のバランスが非常に良いなあと思ったんですが、二番手として主役を立て、出過ぎず、だからといって引き過ぎず、ガツンと出るときは出る、そういうバランスを鈴木拡樹氏が作ってた気がする。
どうなのよ座長経験豊富な32歳2.5次元舞台のキング…。

自分が座長ならばおそらくもっと前に出てくるのかもしれないけど、天魔王はあくまでも捨と対の存在として下弦では進行しそうな気もする。
はっちゃけた姿も見てみたい気はするけど、それはおそらく上弦でやることなんだろうなあと。
でも、ラストの方でどんな進化をしているか見守りたいなあ。素晴らしかった。
役者鈴木拡樹の今後が本当に楽しみです。あの技量はもっと誇っていいと思うよ!!

本当にいいものを観ました。出来ればもう一度観たいし上弦もライビュも観たいなあ。
幸せな4時間でした。ありがとう。

(一部誤字修正&蛮幽鬼の辺りを追記しました。蒼の乱も好きです)