ゆうきさらのほんよみにっき@はてブロ

はてなダイアリーから引っ越しました。ゆうきさらが読んだり見たりしたものを気ままにつづります。

髑髏城の七人Season月【下弦の月】2回目を観に行ってきた

今更の話なんだけど、こっちははてなダイアリーが現在ツイートログ置き場になっている関係で急遽アカウント作ったブログのため、タイトルにHNが入ってるのがとても恥ずかしくてな……かと言って今更ブログタイトル変えるのも何か変なので、とりあえずこのままにしときます。しかし本読んでないな!

 

以下は敬称略。

 

突発観劇ツアーの話その1。

年末、友人と刀ステジョ伝を観に行ったときに、「次回作で鈴木拡樹の三日月続投が決まったら1月に髑髏城を観に行く」という謎の賭けをやったところ、見事にPVで告知されたので、急遽戻りチケットと飛行機を取って、1/13マチネを観に行ってきた。

ええ、ボーナスを三途の川に捨之介ですよ……でも行って良かった!

 

ということで、1回目の感想はこちら。

yuuki-sara.hatenablog.com

 

元々東京へは飛行機じゃないと往復しづらい田舎住みなのもあって、一つの舞台を多数回観に行く、という経験は実はほぼ初めてなんだけど(ライビュは除く)、ロングラン公演で定点観測的に観に行くっていうのがこんなに楽しいとは思わなかった。

12月の時と全然違う!!

前回観たときは、まだ手探り状態だったんだな、という再発見だったり、「あ、台詞増えてる」とか「ここの演技変わってる」とか、その1箇所で全体の印象が変わるような変化が入ってたりとか。これはなかなかに楽しいなあ。沼だけど。

何より、熱量がもっともっと高まっていたように感じたし、日替わりとかアドリブとか増えまくってて、けれど舞台の中心で宮野捨之介がきちんと主役をしてるから、座組の空気を壊すことなく世界が深まっていて、「これは楽しい! すごい!」っていうアハ体験を沢山出来た気がする。座組がお芝居にノッてくるってこういうことなのか、と見せつけられた気分。楽しかった!

 役が身についてくるってこういうことなんだなあと。これは多ステする方の気持ちがよくわかる。物理的な距離とお財布の関係でどうしても難しいんだけども!

そして贋鉄斎と捨之介のコーナーがアドリブだらけのおもしろコントコーナーになってたのが爆笑もので。笑いすぎて手を叩きそうになるのを必死で我慢してた。

鳥のときは阿部サダヲ池田成志さんだったんですよね。今更ながら鳥もせめてライビュで観ればよかったなあ(風はライビュで観たけど、花鳥は他の用事と被ってたのもあって全く観てない。今となるともったいないことをした……)

 

以下ネタバレ含む感想。昔から髑髏城を知っている方にとっては「何言ってんだ今更」かもしれませんがご容赦を。

 

 

 

 

宮野捨之介。「下弦の月」のセンターに主役としてきちんと立って、舞台の上で生きていたのがとても良かったなあ。ちょっと鼻声だったから心配になったけど、声が通るのは全く変わらず。素晴らしい技術だなあと思う。殺陣が身体に馴染んできたみたいで、元々のガタイがいいから見栄えがするなあ。

松岡霧丸。下弦の主役は霧丸なんじゃないかなあという認識を新たに(詳細は後ほど)。存在感がとても大きくなってた。相変わらずぴょんぴょんしててかわいい。

鈴木天魔王。表情は抑え気味になっていたんだけど、その分声の演技が幅を広げていたような気がする。宮野捨之介の声の演技に呼応している感じがして、とても耳が幸せだった。相変わらず恐ろしいし威厳もあるんだけど、時折コミカルな色合いの声音で話すシーンがあったりして、「なんだかお茶目さんだ」と可愛さを感じるようにも。

 だからこそなのか、孤独の深さを初見よりもずっと感じた気がする。

あと、髑髏党の配下に対しては、案外労働基準法とポリコレ遵守(そんなもんあるのかって感じだけど)のホワイト城主なのではという印象。そうじゃないとあんなに女性の配下から敬愛されないよなあ。下手打つと殺されちゃうけど。でも8年間で関東荒野にあの城を作って二千人(と当初書いてたけど二万人でしょ! 違うよ!)を食わせられる城主なんだから、本来ならばとても優秀だろうになあ。

以下妄想。本人は信長(本人ではなくてある種宗教的な象徴としての「織田信長」)の存在に心酔していて、だからこそ冒頭のあのシーンから天魔王であり続けたのかもしれないけれど、それは宗教に傾倒していないと自我を保っていられない弱さなのかも。捨之介はそのことに何となく気がついて、だからこそ倒したいのではなく止めたいと思ったのかなあと。

 一幕の圧倒的な君主感から一転、二幕でイギリスからの援護はないとわかり、家康の力は強大。蘭丸に対しては、蘭丸の弱みに目をつけて口説き落としたのではなく、天魔王が一蓮托生だった仲間を傍につけておきたくて、過去に縋ってしまった弱さの発露なのでは、と改めて思った。

 そんな中で天魔王としての仮面が綻びていって、実は蘭丸に庇われた(今更気がついたけど一幕と二幕で蘭兵衛と蘭丸に対して同じ台詞を言っているのに、シチュエーションが全く違うのが効いてるんだなあとか)時点で、ただの駒だと思っていた(思おうとしていた?)人間から庇護されてしまった、ということで既に矜持がひび割れていたのかもしれない、と感じたり。

 あともうひとつ。最後の最後に、「天魔王とは何だったのか」と思い返すときに、空っぽの金の兜しか残らない、そういうプランで天魔王の役を作り込んでいるのかなと思ったりもした。鈴木天魔王が見せる本来の姿は、ラストバトルで剥き出しにされて、自ら捨之介を刃を突き立てるあの一瞬にだけ見せるもので、それまでは完全に、幼い頃から仕え、近くで姿や声、仕草をずっと見てきた信長の完全コピーを演じている天魔王、として意識的に鈴木拡樹が演じているのかな、とか。ある意味一人二役版の天魔王的というか(風観てるからこういう風に思うのかもしれない)。

 長い。すみませんずっと天魔王をぐるぐるするんだよ……。

 「捨之介、蘭丸とは一蓮托生」っていう台詞(意訳)がものすごく耳に残ってる。

廣瀬蘭兵衛。蘭丸になってからの男前度が増していた! どう考えても蘭丸の方が本性だし、蘭兵衛の時は生きながら死んでいたようなものだったんだろうなあ。蘭丸に戻ってから楽しそうに人殺しに興じる姿は、信長の傍にいた頃の姿そのものだったんだろうか、と思いつつ。そして殺陣がめちゃくちゃ上手く激しくなっていて、天魔王と蘭丸の対決の時は息を呑んでしまった。ちゃんとも、努力の人だなあ……。

木村兵庫。気さくな兄ちゃんでありながら要所要所を締めていて、ああ、すごくいいなあと改めて思った。無界屋襲撃のシーンでの悲しみがとても切なくて、だからこそ、更なる悲しみに襲われた太夫を支えられるだけの男に成長しているんだな、っていうのがグッときた。荒武者隊の日替わりも毎回見たいぞくそう……。

羽野太夫。素敵度に磨きがかかっていた……蘭兵衛を撃ったあと、泣きながらずっと手を拭ってあげている姿があまりにも痛々しくて、だからこそカーテンコールで手を繋いで出て来る蘭兵衛と太夫の姿を観て「蘭兵衛この野郎」っていう気分に……とっても愛しい半身だったんだろうなあ……。

千葉狸穴様。最初に観たとき、実は前の方の頭で見えないシーンが多くて残念だったんだけど、今回はちゃんと観られてよかった。かっこいい!

渡京や生駒や剣布や爪月にもちょいちょい面白い台詞が増えてて楽しくて、一幕はひたすら笑いっぱなしだった。いん平さんの美味しいところを持っていくシーンも大好きだなあ。

そして何より贋鉄斎コーナーですよ。1月13日マチネ生駒日替わり「ポテチを箸で食べるタイプだから」に始まって、贋鉄斎と捨之介の掛け合いが面白い。捨之介がボソッとツッコミを入れながら生駒に叩き込まれた頭の剣を抜くんだけど、「頭皮が取れちゃうから」とボケつつ二人でカツラを押さえながら協力するっていうだけのシーンなのに何故あんなに笑えるのか。うまく説明出来ないのでライビュで観て。このノリを見るだけでも通いたいくらい好き。

 

ライビュ先行は終わってるけど一般発売が多分あると思うので。

l-tike.com

 

あと、個別感想とは別に、下弦の月から私が受け取った物語として。

妄想200%だからごめんな!

 

一応の主役は宮野捨之介ではあるんだけど、基本的には霧丸視点で全ての話が進行しているんだなあと。

まだ年若い、しかも復讐心に溢れた霧丸だから、捨之介は最初のうち謎の兄ちゃんだし、天魔王は一族を皆殺しにしたあまりにも冷酷なヒールだし、蘭兵衛に至ってはふわふわしてて何を考えているかよくわからない。でも、そんな中で、捨之介が包容力のある兄ちゃんであることがわかって、さらに気のいい兵庫や荒武者隊、そして無界里の包容力溢れる太夫や遊女たちの優しさに触れて少しずつ視野が広がってゆく。

 しかし蘭兵衛は何故か天魔王の元へ向かい、霧丸の目の前でよりによって霧丸の敵でもある天魔王に堕ちていく。

 過去のことなぞ何も知らない少年にとって、大人達の因業因縁は全く意味のわからないものだと思うし、でも、何もかも捨てたと言っていたはずの捨之介がそれに囚われていると知ってしまったときに、霧丸は復讐心よりも、自分を心配してくれた捨之介を何とか助けなきゃ、自分が大人にならなきゃ、っていう方向にシフトしたんだろうなと。ざっくり書いてるから味気ないけど、とにかく捨之介と霧丸の関係性がとても尊い

 「止めるんだ」と言っていた蘭丸と天魔王を同時に喪い、打ちひしがれる捨之介を見て、一族を殺された記憶が生々しい霧丸だからこそ、「今は自分が捨之介を支えるんだ!」っていう気持ちになったのかもしれない。

 宮野捨之介と松岡霧丸だからこそ出来るこのバディ感というかニコイチ感溢れる関係性を、12月よりももっと前面に出してきている感があって、個人的にはその……大変好きです……。

 で、このバランスって、多分天魔王や蘭兵衛が目立ち過ぎると成立しないものだと思うんだよね。とても少年ジャンプ的。でも昔のジャンプじゃなくて今のジャンプ。今のジャンプ漫画ってこじらせた大人ちょいちょい見かける気が。いや昔からか。

 大人だったり先輩だったりするけど、過去に挫折してこじらせた人たちに新しい気付きを与えるのが、主人公だったり新しく入ってきた後輩だったりするよね、と。男性から女性に設定を変えてやってきた霧丸は、まさにそれなんじゃなかろうか。

 とにかく、下弦はその関係性を見せる方向を選んだんだなと。でも、座組が一つの方向を見てる感じがあって、好みはあると思うけど、見せ方にブレがないのがとても好き。

 でもガンダムには乗ってもジャンプ原作の主役としてはデスノートのダークヒーロー・月をやった宮野捨之介と、まさしくジャンプマンガの主役であるナルトを2.5次元で演じている松岡霧丸が組んで演じているっていうのも面白い。

 

 あと、個人的に凄く適当なことを言うと。

 実は鈴木拡樹捨之介、宮野真守天魔王っていうのも観てみたい気はする。というのも

yuuki-sara.hatenablog.com

 

こちらでちょっと触れた少年社中作品での鈴木拡樹は、割と捨之介っぽい人物を演じている気がする&私が声優宮野真守の演技で一番好きなのが「ガッチャマン・クラウズ」のベルク・カッツェだっていうところからなんですが(笑)

 物凄くトリッキーな悪役なんだけど、「演技が抜群に上手いな!!」と思ったのはガチャクラ見た時だったので。

 

つーか霧丸主役でアニメ化とかいかがでしょう。1クールだったら月髑髏よりもちょっと長いくらいの尺だよ!

 

 次はライビュで上弦と下弦、そして2月にすごい前方席で下弦を観ます。今猛烈に大楽のチケット取れば良かったって後悔してるので、それくらいなら当たって砕けた方がいいっすね……うう。でも、物語の芯がはっきりしている以上、あとは進化と深化を続けるだろうから、座組みんながどう変化するか楽しみだよ!!

 そしてようやく上弦を観られるわけですが、上弦はどんな物語を紡いでいるのか楽しみ。