そんなこんなで前の更新からちょっと時間が空いたんだけど、先週公開された情報で度肝を抜かれてぽかんとしてました。
いや正直実写化じゃなくてこっちのゲキシネ(っていうと新感線用語だから舞台映像の再編集映画館上映っていうのが正しいのかな)が来て欲しいと思ってたから本当に想像の範囲外だったんだ……。以下敬称略。
で、実写映画が小林靖子脚本ということで、興味が湧いた方向けに、メインキャストを引っ張ってきている『舞台「刀剣乱舞」』(略して「刀ステ」)のプレゼンをしてみます。ゲームに関してはとりあえずプレイしてみてねという感じなのでDMM公式へ飛んで下さい。スマホでも出来るよ。
あと、刀剣乱舞の2.5次元舞台には2つのラインがあって、ひとつはストレートプレイ版の「刀ステ」、もうひとつはミュージカル版の「刀ミュ」があります。制作会社が違ったりするんですが詳細は割愛。
今回は刀ステキャストがメインで配役されているということと、私が刀ミュは全部観ているわけではないので刀ミュについては詳しい方お願いします。
でも、ミュのラインでも実写映画は作りそうな気もするんだけどね。
ということで、刀らぶファンで2.5次元好きな人は、ステかミュか両方か、という選択肢があるという素敵な状況でもあります。
文章の一部はツイートから引っ張ってきたんだけど、絶対的に文字数が足りなかったので色々補足を入れてます。ネタバレはしないように気をつけているつもりなんですが、どうしても本筋にある程度突っ込まざるを得ない部分があるのでご容赦を。
ちなみに私のポジションとしては、ゲームの刀剣乱舞に関しては割と初期に登録したライトユーザー。
刀ステに関しては「虚伝 燃ゆる本能寺(再演)」、「義伝 暁の独眼竜」、「ジョ伝 三つら星刀語り」を福岡で観劇、虚伝の初演はライブビューイング、外伝は配信で観ています。最初に舞台2種類やりますっていう発表がされたときに「ストプレ版もあるんだーちょっと行ってみるかなー」くらいの気軽な気持ちだったんですが、まあまさか今こんなエントリを書くことになるとは夢にも思ってませんでした……とそれはともかく。
- 「刀ステ」シリーズについて
刀ステは現在5作が上演されてます。
2018年3月時点では、
(1)「虚伝 燃ゆる本能寺」(2016年5月)
(2)「虚伝 燃ゆる本能寺(再演)」(2016年12月~2017年1月)
(3)「義伝 暁の独眼竜」(2017年6月~7月)
(4)「外伝 此の夜らの小田原」(2017年11月、円盤は5月発売)
(5)「ジョ伝 三つら星刀語り」(2017年12月、円盤は4月発売)
の5作が上演済、6~7月に新作上演予定です。
虚伝(初演)のDMM公式配信はこちら。
あとはdアニメ等でも時々配信してますが、期間限定配信だったりするのでDMM公式が一番確実かな。
円盤はアマゾンだとこの辺り。
あと、ニトロプラスから「虚伝」「義伝」の戯曲集も発売されているので、活字が好きな方にはこちらもオススメ。
なお、虚伝は初演と再演がありますが、脚本や演出等に意図的な差異があるので、別作品として扱ってもいいかなと。
- 脚本・演出は末満健一氏
刀ステは映画と大体キャストが被るんだけど、最大の違いはシリーズ通して脚本・演出を手がけているのが末満健一氏ということ。
最近ではアニメ「ボールルームへようこそ」のシリーズ構成と脚本を手がけてます。
他にも今敏監督の「千年女優」舞台版の脚本演出も手がけているそうです。
10年続いているオリジナル脚本の「TRUMP」シリーズで熱狂的なファンも多いそうなのですが、私はまだ円盤を観ていないので末満ファンの方よろしくな……(ロングパス多い)。
舞台「弱虫ペダル」を手がけた西田シャトナーさんや佐々木蔵之介さんの所属していた「惑星ピスタチオ」に所属していたそう。
- 刀ステの個人的オススメポイント
刀ステシリーズのストーリーは各話で独立しつつも連続していて、現時点で刀ステ全体のキーキャラクターになっているように感じられるのは三日月宗近(鈴木拡樹)。
……なんだけど、刀ステ全シリーズに出演しているのは山姥切国広(荒牧慶彦)。
刀ステでは戦国時代を主に扱っていて、虚伝は織田信長、義伝は伊達政宗、ジョ伝は黒田官兵衛と、織田信長に仕えていた外国人「弥助」が物語のキーになってます。内容は時々笑わせるところを挟みながらもかなり重厚でシリアス。そして刀剣男士が活躍する殺陣のシーンが圧巻です。
といいつつも、かなりSF要素が強いので、実は特撮ファンにとっても面白い物語なのではないかなとずっと思っていて。
時間を題材にしたSFのストーリー構成。そして結構な鬱展開だぞ!
なおかつ、ストレートプレイとしても見応えがあって、「虚伝」は「ゴドーを待ちながら」という不条理劇をベースにした構成。
というのも。
「同じ戦場に何度も出陣しなくてはならない『刀剣乱舞』の世界観と、同じ演目を繰り返さなければならない演劇の構造の、面白いミックスになったのではないか」(戯曲 舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺後書より引用)
上記の構造に対して、自覚的に物語を構成して脚本を書いているように思われるんですね。
「虚伝」「義伝」「ジョ伝」ともに、刀ステでは「時間の経過」が物語の大きなキーになっていることが多く。
歴史ものとしての見応えは勿論あるんですが、それ以上に、最終的に明らかになる仕掛けがとてもSF的だし、ニトロプラス作品的。
それが、同じ脚本を使って何度も舞台で上演をするけれど、劇場や役者の演技、その時に起きる有象無象の事態によって、一つ一つの公演が完全に同じように演じられる訳ではない、という「演劇だからこそ実現しうるループものの構造」がメタフィクショナルに実現されることをわかっている構成をしているのではないかなと。
特に刀ステは基本的にロングラン公演前提でスケジュールが組まれているのもあるので。
他にも、ゲーム内で実装されているシステムがあちこちでストーリー展開に組み込まれていて、刀剣乱舞のゲームシステムを説明しつつ、ゲームを知っている人には「おや?」と思う仕掛けになっていたりします。
そして、末満氏は歌舞伎好きだそうで、番傘を使用したキャストパレードは白浪五人男な雰囲気の演出を意図的に行っている様子。
他にも歌舞伎を思わせる演出がちょこちょこあり、溢れるケレン味も特徴の一つかと思います。
刀剣男士が横一列に並んで名乗りを上げるシーンはめちゃくちゃかっこいいし燃えるぞ。
- まとめ
ということで、刀ステはかなり特撮ファンに馴染みやすい構造なのではないかと個人的に考えている訳です。
(正直なところ、末満氏にライダーの脚本を書いて欲しいとずっと思っているんですが、いつか実現するといいなあ)
そして何より、剣戟ものとして楽しめる、激しい、そして魅せる殺陣の連続です。
ということで、時代劇が好きな人には特にオススメしておきたい。
2.5次元舞台は結構な割合で歴史ものや殺陣が見せ場のメインになっている作品があって、個人的に、テレビドラマでは製作数が少なくなっている時代もの・剣戟ものの時代劇の流れを継ぐのではないかと感じているんですね。
若い俳優陣が見せるための殺陣を習得していく様子はなかなか見られるものではないですし。
そして、若いお客さんが殺陣を見て「かっこいい」と思う機会を作れるっていうのは本当に大きいのではないかなと。どれだけ剣戟ものを作っても、肝心の楽しんでくれる観客がいなければ意味がないし。
2.5次元舞台はまだ新しい演劇の形態だけど、役者・観客ともに育っていく面白い分野でもあると思うので、新しいうねりを体感するなら今だと思うよ!
Gロッソに行くくらいの気持ちで気軽に観て欲しいです。いやまあチケット取るのは大変だけど。
夏の新作は50公演以上あるロングラン、そしてキービジュアル的にもおそらく三日月宗近がメインになってくる話だと思うので、是非観て欲しい…と言いつつもチケット取りが激戦なので、取れなかったらライブビューイングか配信で観るという手もあると思います!
あと最近、CSの日テレプラスでもたまに放送してます。
- 以下は余談
個人的に2017年末に上演された「ジョ伝 三つら星刀語り」は脚本構成が出色の出来だと思うので、機会があればどこかで観て欲しいなあと。二部構成なんですが、演劇でしか出来ない時間ものSFの真髄を見た感じでした。
そしてこのブログの他のエントリではダダ漏れなんですが、「虚伝 燃ゆる本能寺(再演)」は初めて鈴木拡樹の演じる三日月宗近を劇場で観て、「人間じゃないものを観た……あそこに在るのは刀だった……なんだあれ……」と打ちのめされた作品でもあり。
鈴木拡樹は元々映像からデビューしているし、「仮面ライダーディケイド」ではブレイド役で出演もしていますが、ディケイドしか知らない人は多分今の鈴木拡樹とあんまり結びつかないんじゃないかなあと。というか私はすぐには結びつかなかった。
本人の努力の賜物だと思うんですが、色々な舞台で座長経験を積んできたのはものすごく大きいんだなあとディケイドを最近見て感じたのでした。
どうやら今現在撮影をしているみたいですが、劇団☆新感線「髑髏城の七人」ロングラン公演を終えて、一体どんな三日月宗近が観られるか楽しみです。
そして鈴木拡樹個人のインタビューを幾つか読んだんですが、どうやらある程度末満氏から刀ステシリーズの流れを聞かされた上で現在の演技プランを作っているっぽいんだよなあ……夏の刀ステは豊臣方になるのではないかと思っているので、一体どういう流れになるのか気になるところ。
他の刀ステ~映画での同一キャストの皆さんも、舞台中心で活躍しつつ、映像出演経験が多めの役者さんを引っ張ってきているから、発表されたキャストを見たときに「ああ、なるほどなあ」と納得したのでした。そして下弦月髑髏の天蘭だよ……まさか二人で刀になるとは……涙目。
そして荒牧慶彦は台風の目になるのではなかろうか……刀ステでの1年間観ただけでも成長が凄まじいので。
刀ステと映画は別の本丸の話のようだし、「この作品の本丸はこれだよー、あなたの好みで一番好きな本丸を選んでね!」と出来るのが刀剣乱舞派生作品の最大の強みだと思っているので、同じ演者でパラレルワールドになりそうな予感がひしひしと。
役者さん達にとっては自分たちの演技力を試される大変な挑戦だと思いますが、2019年がとても楽しみです。
そして靖子にゃんの書く全力の剣戟もの脚本を待ってます!!
そしてこのエントリを書くにあたって以下の特集を参照しました。
青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2015年4月臨時増刊号 総特集=2・5次元
以上! ざっくり書いてるので、間違い等あったら教えて下さい。」
3月17日追記:夏の刀ステ新作は足利の話なのでは、というツイートを拝見し。
登場する刀剣男士は足利義輝に縁のあるものが多いのですねえ。なるほどなあと!
ありがとうございました!
そして刀ステ過去作紹介部分に公式YouTube動画のアドレスを貼り付けました。
PVだったり円盤告知だったりしますが、詳しくはYouTubeのマーベラス公式チャンネルを見て下さい。