……ことをわかってなかった間抜けなブログ主の後悔、までがこのエントリのタイトルです。長い。
平成30年がやってきました。あけましておめでとうございます。
今年はちょいちょいブログの更新をすることを目標の一つにしたいです。気まぐれで三日坊主なブログ主ですが、エントリを見かけたらよろしくお願い致します。
内容は観劇だけじゃなくてドラマや映画の感想やら何やらでごった煮だと思いますが。
ツイッターもアカウント名yuuki_saraで持ってますので、そちらでは廃人のように呟いてます。
つーか前回のブログと文体が違うから何だこりゃって感じですが、その日の気分で文章が変わるので慣れてやって下さい……。
以下、敬称略&個人の感想です。
さて、昨年12月4日に髑髏城の七人season月(下弦の月)観劇以降、一体何をしていたかというと、観劇したり(舞台刀剣乱舞 ジョ伝 三つら星昔語り)、刀ステのBDを見たり、舞台のDVDを見たり、あと「風雲児たち」のトークショーに行ったりドラマ見て号泣したりしてたわけですが。
実は髑髏城の七人を観たあとに、「天魔王に鈴木拡樹の影が全く見えない」→「じゃあ、鈴木拡樹の素の芝居ってどんな感じなんだろう?」という興味を持って。
「折角だから、オリジナル脚本ストプレ出演の映像を見てみるか!」となったわけです。ここで既にかなりダメな沼に突っ込んでたことに気がつけば良かった。
で、先達の方々のオススメコメントやツイート、ブログを参照しつつ、昨日まで見たDVDの記録と感想を以下に記しておこうかなと。
一応ざっと私が出演舞台のどれを観てきたか、というのを書いていくと、上記のエントリでも書いたように、一番最初に観たのは「舞台弱虫ペダル」のライブビューイングなんですが、主演のスピンオフ「野獣覚醒」は昨年末まで未見でした。
で、そこから随分間が開いて、「舞台刀剣乱舞 虚伝 燃ゆる本能寺」(再演)のチケットを、何のきっかけかは忘れたんですが、たまたま応募したら北九州公演が取れたので(実は当時倍率高いのも全く知らなかったのでビギナーズラック怖い)観に行ったんですが、観劇後に役者の演技に呑まれて呆然としたのは久々で。正直インパクトが強すぎて、後でフラフラしながら地元に戻ったような記憶しかなく。
続いて「舞台刀剣乱舞 義伝 暁の独眼竜」、「舞台煉獄に笑う」、「髑髏城の七人season月(下弦の月)」は劇場で観ました。スーパーダンガンロンパもチケットは取れていたんですが、他の用事が入ったせいで行かなかったことを今死ぬほど後悔している……。
ちなみに戦国鍋もディケイドも最遊記も全く通過していないので、私は一体何を見て生きてきたのか未だにわかりません。よく掠りもせずに今まで来たなあ……。
ただ、当時はとりあえずチケットが取れた舞台を観に行くような感じで、オリジナル脚本のストプレにも出ているっていうのをよく知らず。髑髏城を観に行って思いっきり沼に蹴り込まれた自覚があったりなかったりしたので、「じゃあとりあえず行ってみよう!」と思ったのが以下の円盤。
DVDは以下で販売中でした。略してSSS。とっっても好き。
「舞台煉獄に笑う」で激しい殺陣と舞台セットの特殊な造りが気になっていたので、同じく西田大輔演出のこちらをまず最初に選んだのだけど、とにかく殺陣が凄い。めちゃくちゃ殺陣の密度が高い。円盤で観ても圧巻だけど、それだけではなく。
冷静で感情を表に出さない主人公・山県昌景が、ある瞬間、子供のように動揺して、ボロボロになって崩れ落ち、感情を爆発させるシーンがあるのが物凄く印象的で。一気に引き込まれて、あとはじっと画面に見入っていた……。
「これは他の作品も観ないと……!」と思っていた矢先。年末に友人とジョ伝観劇と忘年会を兼ねて会っていたときに一緒に観た円盤が少年社中のこちら。
DVDは現在少年社中の公演でしか購入出来ないそう。
で、こちらで演じているのは「ジュリエット」。「ロミオ」じゃなくて「ジュリエット」。
頭に疑問符を浮かべながら観たら、ジュリエットは男の娘だったという衝撃の展開が待っていたんだけど、とにかくジュリエットがかわいい。女装してようが男装してようがかわいい。そしてまだ演技は若いけれど、シェイクスピア劇の古風な台詞回しがきちんとハマっていて、悲劇に向かって突き進んだ後の、ラストシーンが力強く。
あと、所作がたおやかなのに動揺。
で、慌てて次に観たのがこちら。
少年社中 15周年記念第三弾 第28回公演【贋作・好色一代男】特設サイト
円盤はこちらから購入出来ます。
井原西鶴の好色一代男を下敷きにした艶笑譚で、役どころは主人公の色男・世之介の向こうを張るもう一人の色男・艶之丞。際どい台詞や単語もバンバン吐くし、イケメンであることに絶対の自信を持つ風な超絶モテ男なだけあって、チャラいし、視線だけで女を射殺す勢いなのに、色々あって世之介と契った挙げ句、ライバル心とは裏腹の恋情を抱くというなかなかにかっ飛んだ役どころを、コミカルに、しかし見せ所ではシリアスに演じていて、とてもメリハリが効いている。
こうなれば、ということで、次に観たのは少年社中出演3作目にして主演。
円盤はこちら。
歌舞伎の「三人吉三」を下敷きにしたSFもの。
……っていうだけでもかなり特殊設定なんだけど、鈴木拡樹演じるのは主演のお嬢吉三。普通に女装。しかも観ててぽかんとするほど美人で、仕草も格好もめちゃくちゃ女子力が高い。でも口調は男性的で声は低いし終始歌舞伎調の台詞回しという、物凄く作り込んだ役柄。途中で男装もするんだけど、そちらは本人が望みもしないのにモテまくってしまうというなかなかに面倒くさい役回り。
歌舞伎では悲劇に終わる話の結末を変えるために、お嬢吉三が何度も試行錯誤を繰り返す、幸せな結末を求めて心情を吐露するシーンは圧巻で、元々の物語の良さも相まって号泣してしまった……どういう最後を迎えるかは是非観て欲しいなぁ。
「こいつぁ春から縁起が良いわぇ」という有名も有名な決め台詞を聞けるのも楽しい。
あと、これは絶対に押さえておけと言われていたシリーズ。
円盤はこちら。
(マルガリータ)
(幻の城)
なお、現在dTVで配信中なので、私はとりあえずそちらで観ました。
円盤は後日買う……今は髑髏でお財布がいっぱいいっぱいなんだよ……。
(マルガリータ)
(幻の城)
「マルガリータ」はパブリックイメージの鈴木拡樹っぽい役だったので「ほほう」と思いつつ観ていたんだけども。
「幻の城」が。
……いや本当に誰だかわからない。これ本当に鈴木拡樹なのか。若い頃の木村拓哉のような顔だったのにも驚いたんだけど、演技にとにかくびっくり。
正気なのか狂っているのかといえば本当に狂っていて、口調はおぼつかないし足元はふらついているし目つきもおかしいのに、ときおりゾッとするような殺気を見せる。禍々しい邪神を観ているような気分になって、ただひたすら圧倒された。
嗄れた声は老人のようで、しかしギラリと光る瞳に妄執が宿っているのが垣間見えて。終始「ああ、狂気に沈んだ人間なんだ……」と突きつけられていた。
ラストシーンはおそらく死ぬ間際だと思うんだけど、完全に世界から魂の離れてしまった老爺だった。なんだこれは……凄いものを観た……。
あと、途中に槍殺陣があって、長物を扱うのを観るのは初めてだったのでとても新鮮。
他にも配信で、舞台ノラガミの第一弾・第二弾と、円盤で舞台弱虫ペダルの野獣覚醒を観たりしつつ。
個人的な感触として、「2.5次元舞台よりオリジナル脚本のストプレの方が圧倒的に演技を盛りまくってるじゃないか(当たり前っちゃ当たり前だけど)……というかむしろ2.5だとめちゃくちゃ抑えてるのか」という結論に至りました。
以下、さらに個人的な印象。鈴木拡樹が持っている演技のバリエーション自体がかなり多くて、2.5だとあるキャラをキャラたらしめるために、そのキャラクターが持っている要素以外の部分を出さないように抑えている&ストップモーション的にキャラクターのポージングを真似て、観客側の想像力を引き出している部分があるのかなと。しかも本人は自覚的にそれをやってそう。声をまねるだけではなく。
「野獣覚醒」を観ていたときに、「あ、この荒北のポーズ、スペアバイク(荒北の番外編が掲載されているコミックス)の一コマにあった」というのを強烈に思い出したシーンがあって。おそらく意図的にそういう部分を盛り込んでいるのだろうなと(というのを刀ステのメイキングで話していた気がする)。
対照的に、オリジナル脚本のストプレでは口調にしても声の調子にしても盛りまくっていて、とても自由にのびのびとやっている感じが。そうだよこういうのが観たかったんだよ……つーか本当に器用だな! 結局素の演技がどれかはわかるようでわかんなかったけど楽しそうに演じてるからいいや! 鈴木拡樹が演じてたらそれは鈴木拡樹の演技だ!
例えば「三人どころじゃない吉三」は主演:鈴木拡樹じゃないと絶対に成立しない話だと思うわけで。
お嬢吉三はジェンダー・ロールを飛び越えて男女の狭間を自在に動き回り、さらに男女問わず作品内での「美しさ」「格好良さ」の頂点にある。けれども、それ故に本人が悲劇を巡る仕掛けに気がついてしまってから、その「美しさ」「格好良さ」が悲劇を乗り越えるために物凄く邪魔になる、という展開は、鈴木拡樹の身体性と、大仰なくらいに芝居がかった口調、そして存在感と熱量があってこそじゃないかなと。うまく言語化しづらいんだけども。
(本旨とは少し外れるけど、少年社中の作品内での鈴木拡樹の存在は「作中におけるジェンダー・ロールを引っかき回す役どころ」に見えて、鈴木拡樹出演作品は、そこにカタルシスを得る構造で物語を組み立てているように感じる。それは鈴木拡樹でしかなし得ない部分だと思うし、本人も毛利亘宏主宰も意識しているのかなと)
「髑髏城」を観てからずっと思っていたんだけど、本人の素の演技は堺雅人系統というか、どんなキャラクターでも作り込めるし、いい意味でマンガ的なわかりやすさもありつつ、主役級のインパクトを持っているのかなと。何より、楽しそうに演じてるように見えて、だから観ているこちらも楽しくなる。
よく客演する少年社中も早稲田大学演劇研究会の系譜だから、という連想もあるんだけども。ファンタジックな作風に負けない濃さと強さのある演技は観ていてエンターテインメント性に溢れているなぁと思う。
蛮幽鬼のサジ役をやって欲しいと思っているのも、堺雅人との近似性を感じるから、というのがあり。再演やってくれたら全力出すよマジで……。
一方で、板の上や観客席の状況や空気を物凄く読んでいるクレバーさがあって、座長のときであろうが二番手の時であろうが、自分が積極的にバランサーとなって会場の空気を調整している感じも。
それはどちらかというと自分の演技を引いたものに見せる方向に働くかもしれないけれど、座組の一体感という意味ではものすごくプラスになるだろうし。
そんなこんなで、もっとオリジナル脚本のストプレを観たいなあと欲が湧いてくるわけで。
私自身は元々三谷幸喜のフィールドの人間なので、三谷幸喜脚本の時代物とかミステリの芝居に出て欲しさもあるし、古沢良太脚本とかも楽しそう。
あと、映像でも大河とかNHKの時代劇に出てくれたら私は大歓喜する。ホント出て。
正直、これだけ目を引くものがあれば、世間が放っておかないと思うし、これから大きな役が増えていくだろうな、っていうのは想像がつくんだけども。なんつったって世情に疎い私が知るくらいだし。
ただ、少年社中だったり、西田大輔作品だったり、ペダルからのご縁の西田シャトナーさんだったり、刀ステの末満さんだったり、これからどんどん大きくなっていくであろう人々と積極的に組んで、新しい演劇の地平を切り拓いて欲しさがとてもある。権威にとらわれず、あちこちで演じて、色々な姿を見せてもらえたら嬉しいな、というのが今の正直な私の感想です。
……よりによってこんな深い沼にドボンするとは思わなかったので、困惑しつつも楽しい年末年始を過ごしましたよ……まだ観てない作品はいっぱいあるんだけど、週末髑髏城の2回目を観に行くので、その前にアップしとく。ああ、楽しみだなあ。演劇っていいなあ。